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【無料】基礎から分かる水産用語<57> 6次産業化とは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。

6次産業化とは

 故今村奈良臣・東京大名誉教授が提唱した造語。農林漁業者が食品加工や流通・販売にも取り組み、生産物の価値を高めることを指す。高付加価値化による生産者の所得向上が期待できる。1次産業の農林漁業の他、2次産業の製造業や3次産業の販売・サービス業を取り込むため、各数字をかけ算して計算できる“6”を使い表現した。「6次化」ともいう。

 政府は2010年に、6次産業化や地産地消を推進する「六次産業化・地産地消法」を公布。6次産業化関連は翌年3月に施行した。農林漁業者などが総合化事業に関する計画を作成し、農水大臣から認定を受けた場合、特例措置による支援を受けられる。同計画は22年8月末までに2621件が事業ベースで認定を受けた。うち、水産物関係は7・5%に当たる197件だった。

 政府は6次産業化の事例を収集し農林漁業者の取り組みを支援する「6次産業化アワード」の表彰も21年度まで開催した。最後の21年度の農林水産大臣賞には養殖魚の生産や加工、販売を手掛ける尾鷲物産(三重県尾鷲市)を選出した。

 農水省の担当者は6次産業化に取り組む際の注意点として「経営者の視点をしっかり持つことが大切」と指摘。「原材料の見通しや販路の確保がうまくいかず、失敗するケースもある。事前に綿密な計画を立てることが鍵になる」と説明する。

みなと新聞本紙2022年10月11日付の記事を掲載