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【無料】基礎から分かる水産用語<158> 玉冷とは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。


玉冷とは

 貝柱のみを冷凍したもの。水産庁の養殖業成長産業化行動計画によると、北海道のオホーツク海や根室海峡地区で行われる地まき方式で養殖したホタテの主要生産形態に当たる。「たまれい」と読む。長期保管が可能であり、生食を含め多様な用途で使用できる。国内外で一定の需要がある。

 北海道漁連ホームページによると、玉冷の加工に際し表面に水をかけて薄い氷の膜「グレーズ」を作ることで乾燥や酸化を防ぎ、品質を守る。道漁連EC(電子商取引)サイトの記載によると、サイズ区分には2L(1キロ16~20粒)やM、3S(41~50粒)、6S(81~100粒)などがある。傷ついたり欠けたりした規格外のものは「フレーク」と呼ぶ。

 道漁連の推計によると、玉冷ホタテの生産量と在庫を合わせた供給量は2016~18年度(4月~翌3月)が2万トン前後、19年度以降が2万5000トン前後の水準でおおむね推移。消化量は直近の22年度が2万500トンとなった。うち、国内が9500トン、輸出が1万1000トンに上った。

 財務省貿易統計によると、玉冷を中心とした殻なしの輸出量は22年が前年比12%増の1万4444トン、23年1~8月が前年同期比19%増の9555トンだった。主に中国や米国、欧州に輸出。国内は近年、輸出による高値のため通常は安価な小型を好む傾向がある。

みなと新聞本紙2023年10月24日付の記事を掲載