【連載小説】「春夏秋冬 こまどり通信」第七話(全十話)
応接間の扉を開けると、江永さんは瞑っていた目をうっすらと開いた。
「ちどりちゃん、迷惑をかけてごめんなさいね」
「全然、迷惑なんかじゃないです。こちらこそ、顔色がよくないことに気づいていたのに、無理をさせてしまって、ごめんなさい」
江永さんは首を横に振って、「あなたのせいじゃないわ」と言った。
上体起こすと、私の持つ盆を覗き込む。
「あら、その優しい香りは、もしかして葛湯かしら」
「近頃冷えてきましたし、風邪のひきはじめにいいんじゃないかと思って。もしよかったら、い