マガジンのカバー画像

劇場屋根裏の鳩

56
映画・演劇・歌舞伎など、見てきたものの感想など
運営しているクリエイター

記事一覧

固定された記事

そこらへんの鳩がうっかり歌舞伎見物にはまった話

もっちりデミタスさんのアドベントカレンダー(2023)寄稿です。 はじめに歌舞伎、見たことありますか。見かけたことがある方は、まあ日本人なら誰しもでしょう。白塗りの顔と赤い隈取り、あとなんか髪の毛ぶんぶん振るやつ。他には、男性が女性を演じる、というところくらいがおもな印象ですかね。不肖鳩はだいたいそんな感じのイメージでした。 もとより、いろんな事物について、ほんものを見たいと思っている鳩ではございまして、こと演劇や舞台芸術につきましては興味のあるものですから、歌舞伎もだいぶ

【歌舞伎鳩】鳴神ほか(前進座歌舞伎公演 / 東京建物Brillia HALL)【感想】

鳴神が見てみたかったので、行ってきました。劇場に行くと配布されるチラシの、あの冊子のような束の中で見かけて行ってきたわけですが、結構色々なところで歌舞伎って公演をしているんだな〜。歌舞伎を見たことがなかった時は全然知らなかった。やはり己の中で何かの解像度を上げることは、世界を広げることでありますね。 👒は鳩的好きな演目 雪祭五人三番叟 三番叟のめでたい踊りの中で、ラストに雪が降るのが良かった。三階席から見ていたんですが、だんだん降り積もっていく雪に、踊る人たちの軌跡が描か

【文楽鳩】和田合戦女舞鶴ほか(令和6年4月文楽公演 / 国立文楽劇場)

ちょうどよい時間で見られそうだったので、見てきました。大阪・国立文楽劇場。劇場に入ると、でっかいお人形の首にお出迎えされます。 奥の方にちょっとした資料展示室があり、こちらも面白かった。あまり余裕を持って入らなかったので時間が足りなかったのが悔やまれます。次行く時はもうちょっとちゃんと見たい。 団子売 団子売りの夫婦が、お団子を売りつつめでたく踊るわけですが、見ていて明るくて楽しかった。昨年歌舞伎座でかかっていたのも見ておけば良かったかな。 お人形が踊る、というのはどう

【舞台鳩】朝日のような夕日をつれて2024(番外:殴り書き感想編)

一月ほど前の私が、別の舞台を見た時に、目についたチラシからこのチケットを(ちょっと無理して)買っており、先ほど見てきたわけでございます。 きっと有名なんでしょう、私は浅学で全然知りませんでしたから、きっと今、こんなにバカみたいに騒ぐのはおそらく私くらいなのかもしれない。けれどそれでも書かずにはいられなかったので、これは番外編です。鳩は正気を失っている。普段はあれでも考えて、メモを構成し直し感想文に仕立て上げているわけでございますが、今日のこれは、いったいそのまま書き殴りです

【歌舞伎鳩】松竹梅湯島掛額ほか(四国こんぴら歌舞伎大芝居 / 旧金毘羅大芝居・金丸座)

あ〜〜〜〜〜うっかり!!! うっかりお切符が手に入っちゃいましたね!!! いや〜〜〜〜うっかりなんでね、行かなければですね琴平まで。 ということで行ってきました。香川県琴平市。行ってみたかったんですよ金比羅宮……。もちろんサンライズ瀬戸でごろ寝をし、朝のうちに琴平山に登り、霧深い奥社まで行ってまいりました。山。奥社は果てしなく遠かった……。そして登ったり降りたりしたのちに満を持して金丸座です。 お昼に食べたうどんもさすがに美味しかった。 👒は鳩的好きな演目 👒松竹梅湯島掛額

【舞台鳩】剣劇「三國志演技〜孫呉」

三國志……全然通ってきていない……大丈夫だろうか……と思いながら見に行きましたが、問題ありませんでした。よかったよかった。 あらすじ 一部が本編(物語)、二部が特別御前試合(スペシャル殺陣ショー)という構成。 まずは本編。 三國志を通ってきていなすぎて、名前が……覚えられない……(いつもの)というのはさておいても、しっかりとキャラクターが作り上げられているのでわかりやすく、ありがたいところ。 主人公(孫策)の父との確執の話であり、その親しい人との死が受け入れられずに狂っ

【歌舞伎鳩:番外編】刀剣乱舞 月刀剣縁桐(四月シネマ歌舞伎)

ついに……ついに……! BD / DVDがでます!!! 出ますよ!!! ダイレクトマーケティングをします。 ちょうどひとつきくらい後、2024年8月28日発売です。 発売は水曜日ですね、愛さなくなるまでは愛してる。 刀剣乱舞というコンテンツの一解釈として鳩は大変面白く見ましたし、この演目とても好きです。 千秋楽の配信以来久しぶりに見ましたが、やはり良いですね。映像のカットが配信とも違う気がする。まだまだ見えていなかった目配せなんかもあって、色々な発見がありました。 この演

【歌舞伎鳩】夏祭浪花鑑、於染久松色読販ほか(四月大歌舞伎 / 歌舞伎座)

毎年四月は、仁左衛門さんと玉三郎さんの公演なんでしょうか。 昨年のこの月にうっかりビビり散らしながら歌舞伎座に行ったのが全てのはじまり。なんともう一年も経ちました。光陰矢の如し、恐ろしいですね。何より恐ろしいのはそこからほぼ毎月歌舞伎座にいることでもある。 歌舞伎、恐ろしい。恐ろしく素晴らしいので、まあ皆さんもぜひ幕見にでも行ってみてください。 👒は鳩的好きな演目 👒夏祭浪花鑑 ざっくりとしたあらすじ: 出牢した団七九郎兵衛(片岡愛之助)は、妻・お梶(中村米吉)や息子・市

【舞台鳩】マシュー・ボーンの『ロミオ+ジュリエット』(東急シアターオーブ)

昨年図らずも「ロミオとジュリエット」の話の内容を割ときちんと知ったため、今なら見れると思い立ち、駆け込んできました。 こういうダンスの公演を見るのは初めて、内容分かるだろうか……などとちょっと不安に思いながら行きましたが、結果としては全然問題なかったです。 マシュー・ボーンについても名前と振付師?という程度しか知識を持ち合わせておらず、以下引用します。 今回は『ロミオ+ジュリエット』ということで、シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」の翻案作品。舞台は現代、若者を矯正する

【歌舞伎鳩】御浜御殿綱豊卿、伊勢音頭恋寝刃ほか(三月大歌舞伎 / 歌舞伎座)

ヘッダーの仁左衛門さん、めちゃくちゃにかっこよくないですか……? これは歌舞伎座でポスターを撮影したものですが、画質荒いのでもう本家で見てきてください。 見ましたか? かっこいいですね。鳩はど素人であるため、どの演目も大体内容を知らず、もちろんこの「御浜御殿綱豊卿」も知らなかったのですが、ビジュアル出た途端に、かっけ〜〜〜〜〜!!!と声が出たのはこれが初めてです。演目名だけで夜の部のお切符を取っており、昼は「傾城道成寺」を幕見しようかな〜程度だったのですが、まあ、行くよねこ

【映画鳩】オッペンハイマー

日本公開されることがあれば(本国公開されてから日本公開されるまで協議か何かあったようでだいぶ間がありました)、見に行こうとは思っていたものの、ずっと「見たい」と「見なければ」の間にありました。 でも公開されましたからね、もちろん行ってきましたよ。配信だと腰が重くなって見るのに時間を要しそうというのもある。劇場というのは時間と集中、環境を買う場所であるため。 チケットをとるまでは何も考えていなかったけど、劇場に入って本編始まるまでにもうちょっと帰りたかった。余裕があるときでな

【文楽鳩】曽根崎心中(BUNRAKU 1st SESSION / 国立劇場)

前回、国立劇場で文楽を見た時に、曽根崎心中を好きになったので、このプロジェクトもチェックしつつ行くかどうか迷っていたのですが、思い立って行ってきました。 トレーラーの通り、通常は大道具を立てて行う公演を、アニメーション背景で行うというプロジェクトです。背景美術は、スタジオジブリの背景画を数多く描かれてきた男鹿和雄さん。 演目は「曽根崎心中」から、最後の道行の場面「天神森の段」です。 「曽根崎心中」のざっくりとしたあらすじは以下の通り。 醤油屋の手代・徳兵衛と、天満屋の遊女

【歌舞伎鳩】女殺油地獄・忍夜恋曲者 将門(三月花形歌舞伎)

めぐりあわせでうっかり初日に行きまして、偶然役者さんのご挨拶に出会したりしました。南座前のあの小さいスペースでのご挨拶で、役者さんめちゃくちゃ近いとこにおる……となったのと、こういうご挨拶は役者さんの素の性格のようなものが見えるんですね。初めて目の当たりにしましたので面白かったです。 めちゃめちゃ寒かったけど、良い十五分でした(この日の京都、一日風花が……)。 鳩はこの頃ずっと思っていたんです、隼人さんが悪い男を演じているところが見たいと。新・水滸伝の林冲が印象的で、ヤマト

【映画鳩】哀れなるものたち

公開後そこかしこから良い評判が聞こえてきていましたね。へ〜……くらいにしか思っていなかったのですが、ちょっと前に作っていた映画公開見たいものリストの中に本作が入っており(すっかり忘れていた)、まあそれなら見てみるかあと映画館まで行ってきました。 (注:以下ネタバレあります) いつものことながら思えば情報を仕入れずに見に行ったため(大人の身体の中に子供の脳が入っている?程度)、屋敷の中にキメラのような動物が出てきたあたりで、どんな世界観???になっていました(すぐに慣れまし