保活で泣きそうになった話【前編】
少し前に偶然、学生時代の友人と再会したときのこと。
彼女はうちの娘より小さな女の子を連れていて、「このまえ2歳になったところ」と、“ママの顔”で嬉しそうに教えてくれました。
前に顔を合わせたのは、たしか十数年前、共通の友人の結婚式だったはず。つまりは、個人で約束して会うほどの仲ではなく、どちらかといえば希薄な関係性だったのだけど、思い出話や近況報告をしあったあと、愚痴のような弱音のような言葉をポロリとこぼしたのです。
「仕事復帰するにあたって、本当は認可保育園に入れたかったんだけど、ゼロ歳児のころからずっと落ち続けてるんだよね。
色々走り回ってなんとか入れた保育園は、2歳児クラスまでしかない小規模保育園で、今年3月に卒園しなくちゃいけない。だからどこかに移らなくちゃいけなくて、今また受け入れ先を探して駆け回ってるところ。
2年前、『これでひとまず安心』と思ったばかりだったけど、むしろずっと途切れずに保活を続けている感じ」
親同士が立ち話をしていると、私の娘と彼女の娘が手をつないで遊びはじめました。初対面のこども同士でもすぐに打ち解ける感じは、保育園児特有なのかねぇ、と微笑みながら
「保育園のおかげで成長しているような気もするし、この子のために、安心して過ごせるところに預けたくて頑張っているつもりなんだけど、たまに思うんだよね。『まるで、こどもと一緒にいたくないから仕事を理由にしているひどい母親みたいだ』って。
もちろん本当に大切な存在だし、ずっと一緒にいたい気持ちもあるんだけど、でも。仕事をすることで保っていられる“自分”みたいなものもあるし。
難しいね。とっても」
※注)保活=こどもを保育園に入れるために保護者が行う活動のこと。 待機児童が多い自治体では、希望する認可保育所に子どもを入れられるように、事前に入念な情報収集・準備を行うことが必須となっています。
保活で経験した悪夢がフラッシュバック…
学生時代はキリリとした立ち姿が印象的で、常にみんなをリードするような存在だった彼女。愚痴や弱音を吐くところは一度も見たことがなかったので、驚きました。
でも、きっと“これがベストな選択か”と迷いながら、やらなくてはいけない。こどもがまだ小さく、自分の体のコンディションも整わない時期に。それが保活のキツイところなんですよね。
この会話の後、5年前の自分を思い起こしてみました。
妊娠中に住んでいたのは、認可保育園の入園激戦区と言われるエリアでした。数字上は「待機児童数ゼロ」でしたが、待機児童ゼロ=誰も保育園に落ちていないというわけじゃありません。
保活経験者には常識だったようですが、自分がこどもを持つようになるまで、私はこれを全然知らず、“ゼロなんだから、どこかには必ず入れる”と思っていたのです。
のんびり構えていた妊婦の私に現実を教えてくれたのは、先に働くママになっていた友人たちでした。「早く準備しないと、どこにも入れないよ! 認可落ちたときの代案も考えておかないと」
えっっっ!!!??? そうなの!!!???
急き立てられて保活をはじめることにした私ですが、この時はまだ「そもそも保活って何よ…?」状態だったのです。(続く)
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