目の前にある自然で遊べることが一番の贅沢だったと今になって気づいた。
「ん!今日のは甘いから当たりだ〜!」
小学生の頃は桑の実を食べるのが
帰り道の楽しみの1つだった。
美味しくても酸っぱくても
その体験だけで充実した1日をおくれていた。
あれから20年が経ち、
大人になった今、私はふと考える。
あの頃のように、
何かを心から楽しむことができているのだろうか?
小学生の頃はお小遣いなんてなかったから、
友達と木の実や食べられそうなものを
見つけては食べて遊んでいたのが懐かしい。
桑の実、ゴムの実、花の蜜、アケビ ーー
どれも非常に美味しかったことを今でも覚えている。
自然に生えている葉っぱもお茶にしたり
天ぷらにしたり、とりあえず食べて、
自分の舌で確かめていた。
「すっぱーーー!」
「苦い」
「甘いから当たりだーー!」
商品として栽培されたわけではないから
味は安定してないし、毎日違うけれど。
そんなことも楽しんで過ごしていた。
今では大人になって
様々なものがお金で買えるようになった。
モノや体験、お菓子に果物も。
それは非常にありがたいことで、幸せなことだ。
でも、お腹は満たされているけれど、
心にあの頃のような喜びや感動が湧き上がることは
少なくなったように感じる。
いつからだろうか。
周囲を気にしたり、
自分の感覚に素直になれなくなったのは。
いまでも、自然に触れているときは
心がすーっと楽になっているのを感じる。
自分自身も自然体でいられるような気がする。
昔は当たり前だった "自然に触れる"
ということがいつの間にか贅沢なことになってしまった。
日常に埋もれた感覚を呼び覚ますために、
また木の実を手にしてみよう。
きっと、あの頃とは違う新しい発見があるに違いない。
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