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今週のSaaSニュース! Vol.37(2/21週)

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注目!資金調達ニュース

スマートホームSaaS Plume $270M調達@$1.35B

昨年から続くパンデミックにより、世界中でWFHで自宅のWiFiネットワークがライフラインになりました。Plumeは、家のあらゆるデバイスのWiFiネットワークの接続状況を可視化・最適化、セキュリティ保護、問題発生時にはサービスプロバイダーの迅速な対応を可能にするB2C SaaSを提供している。すでに世界2,200万世帯で導入されている。本シリーズEは、$1.35BのバリュエーションでInsight Partnersなどから$270Mを調達。

2分でわかるPlume(動画)

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セールスイネーブルメントSaaS Highspot $200M調達@2.3B

Highspotは、SaaS評価サイトG2でNo.1の評価を受ける、セールスイネーブルメント分野のリーディングSaaS企業。営業資料などのコンテンツを管理、営業のパフォーマンス向上、顧客体験のパーソナライズ化を支援する。特に新製品のGTM(市場投入)戦略を支えるプラットフォームとして評価されている。顧客には、GM、ネスレ、ベライゾンなど大手企業を多数抱える。本シリーズEは、$2.3Bのバリュエーションで、$200Mを調達。Tiger Globalがリード投資家の他、MBBの一角 Bain&Co.も新規投資家として参加。

7分30秒でわかるHighspot(動画)

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従業員人材開発/コーチングSaaS BetterUp $125M調達@$1.73B

BetterUpは、行動科学とAIを活用した、企業の従業員の人材開発とコーチングをall-in-one型で提供する、同分野をリードするスタートアップ。まずモバイルで個人の精神状態や行動特性、強みなどを診断を元に、キャリアに合った2,000人超のコーチをマッチング、定期的なカウンセリング受けることができる。効果はストレスレベルの77%低減、バーンアウトの35%低減など、従業員の心身の健康の向上の他、企業の売上が3倍になったケースもある。NASAやヒルトンなど大企業で導入されており、昨年はARR 2倍、顧客数 +80%、売上継続率 140%超と驚異的な実績を上げている。本シリーズDは、$1.73Bのバリュエーションで、ICONIQ Growthなどから$125M調達。

2分でわかるBetterUp(動画)

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保険/金融向け価格最適化SaaS Earnix $75M調達@$1B

イスラエル発のEarnixは、保険会社や金融機関の金融商品(保険、ローンなど)のデータ解析を行い、顧客の需要やリスクを予測し、顧客にカスタマイズした価格の提案をサポートするSaaSを提供している。CB Insight社から「保険分野の予測分析のマーケットリーダー」に選定されている。本ラウンドは、$1Bのバリュエーションで、Insight Partnersなどから$75Mを調達。

2分40秒でわかるEarnix(動画)

SMB向けITサポートSaaS Electric $40M調達

Electricは、ITサポート部門が持てない、ないしは高額な外部ベンダーを雇えないSMB企業向けに、デバイス管理、ソフトウェア管理、トラブルシューティングなどのサービスをSaaSで提供するスタートアップ。現在、400社超、2万5千人が利用し、ARR $20Mに到達している。本シリーズCは、Greenspring Associatesがリードし、既存投資家のBessemer Venture Partnersも追加投資。

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飲食業向けインダストリーSaaS ToastとOlo IPO申請: Toastは、昨年2月に約$5Bのバリュエーションで$400Mを調達した、飲食業向けSaaSのトップ企業。2019年の売上は+109%成長したが、コロナを受けて大幅な人員カットを行った。まだS-1は出ていない。

Toastに加えて、飲食業向けにPOSやオンラインデリバリー対応のSaaSを提供するOloもIPO申請。同社のS-1によると、2020年の売上はコロナ禍にも関わらず約2倍成長の$98Mに達し、営業利益も$16Mと黒字化を達成している。

オープンAPIカード発行/決済SaaS Marqeta IPO申請: 大手金融機関から、DoorDashのようなテック企業に対して、カード発行/決済を支援するSaaSを提供するMarqetaが非公開でIPO申請。昨年5月には、$4.3Bのバリュエーションで、Greylockなどから$150Mを調達。Marqetaの顧客でもあるGoldman SachsとJP Morganが主幹事。

後払い決済(BNPL)大手 Klarna $1B調達中@$31B: Eコマース向けに後払い決済(Buy Now Pay Later)を提供する、北欧の有力スタートアップ Klarnaが前回ラウンドのバリュエーションの約3倍である$31Bで、$1Bの資金調達を実施中。これまでの累計資金調達額は$2.1Bに上る。本ラウンドが成立すれば、英Check.com($15B)を超え、欧州最大のフィンテック企業となる。

小売向けデータ解析SaaS SoundCommerce $15M調達: SoundCommerceは、主にブランド企業向けにオムニチャネルの顧客データをクラウド上に統合し、顧客のライフタイムバリューや収益の向上を支援する小売特化型"Snowflake"。ShopifyやAmazonなどの大手のプラットフォームとも連携。本シリーズAは、Emergence Capitalがリード投資家。

市場トレンド

急成長する世界のクラウドデータベース市場

先日のSnowflake FY21Q3決算でYoYの売上成長率は+115%と驚くべき成長率を叩き出した。Research and Markets社によると、グローバルのクラウドデータベース(DBaaS)の市場規模は、2020年 $13.6Bで2027年までに年率+62%で成長し、約$400Bに達する見込みだ。日本でも主要なSaaS企業が相次いで国内にデータセンターを開設したことで、グローバルに比して市場規模は小さいものの、年率+43.5%で成長し、2023年度には730億円に達すると予想されている。本記事では、このレガシーDBからクラウドDBへのメガシフトを丁寧に解説している。

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成長戦略

■ 営業の"相手探しを科学"する 「ポテンシャルマップ」のつくりかた

SaaSスタートアップに重要な顧客ターゲティング。これを実施する上で、「ポテンシャルマップ」という方法論を丁寧に解説した記事。営業戦略を練る上では、非常に参考になるやり方ですし、VCから資金調達をする際にも、今後の資金使途、成長戦略を説明する上でも役に立つと思います。

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SaaS企業の成長に不可欠な「コミュニティ」の創り方

Chief community officer is the new CMO』でも語られる通り、米国SaaS企業では、10年前のカスタマーサクセスのように、コミュニティの活用がブームになっています。本記事は、JuroというSaaSスタートアップにおけるユーザーコミュニティの設計手順、初期のコミュニティ作り、コミュニティによる効果を解説した記事です。

一方で、コミュニティ創りは難易度が高い手法であることも認識が必要です。こちらのDatadogの記事の通り、70%のコミュニティは失敗しており、”成功の方程式”は存在しないことも認識すべきポイントです。コミュニティは、あくまで「収益重視」の手法ではなく、「顧客(の課題解決)重視」の手法であり、PDCAを回し、試行錯誤し続けることが肝要です。

コロナ禍で増加したSaaSのフリミアム化の効果とは?

コロナ後に従来の営業/マーケティング手法が通用しなくなったことで、米SaaS企業では、顧客のセルフサーブの促進、導入の摩擦(フリクション)を軽減する目的でフリミアムが積極的に導入されるようになりました。そして、その成功体験から、多くのSaaS企業で現在に至るまでフリミアムを継続しています。本記事では、主要SaaS企業でのフリミアム活用におけるKPIと効果についてまとめています。

マネジメント

スタートアップ経営陣向け採用ガイド

米大手VC Battery Venturesによる「スタートアップ経営者に向けたタレント採用ガイド」。経営陣の採用に対する心構えや良くある失敗、オンボードへの心遣いなど、多くのアドバイスが載っています。人材採用は、SaaS成長のキモであり、経営陣の採用へのコミットメントと方法論の理解は必要不可欠ですので、チェックリスト代わりに使ってみるのも良いかと思います。以下に、記事の一部を抜粋します。

幹部人材の採用で注意すべき7つのポイント
1) 幹部人材の採用は面接ではない
2) 候補者の都合に合わせた採用プロセスの設計をする
3) 候補者の関心に合わせたトークの磨き込みをする
4) 採用プロセスは少なく、モーメンタムを意識する
5) 課題についても、透明かつ率直に説明する
6) 趣味や家族など、雑談の内容も残らず活用する
7) 丁寧なフィードバックなど、結果によらず良い印象を残す

米SaaSスタートアップで重要度が増すCOOという役割

アメリカ文脈の内容ですが、SaaSスタートアップで重要性を増すCOOの役割、COOの4つのタイプ(以下)、各ステージで求められるCOOのタイプ、COOの採用/評価/口説き方を解説した記事。COOの重要性が増している背景として、競争におけるプロダクトの重要性が増しており、エンジニア出身CEOが長くCEOを務めるケースが増えていること等があります。日本のSaaSスタートアップにおいても、どういうCOOが必要か、どうやってCOO候補者を評価するか、などは参考になると思います。

ファイナンス

長期金利上昇によるSaaS企業のマルチプルの変化

米国10年債の利回りが1年ぶりの高水準をつけたことで、株式市場へ大きな影響が出ている。米SaaS上場企業のEV/Revenueマルチプルの推移も、前週から大きく下がっています。一方で、FRB(米連邦準備理事会)もインフレ率 2%を超えるまで金融緩和は続けると発表しており、コロナ前の水準まで下落するとは考えにくいですが、引き続き注視が必要です。

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