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オーダー記録:Kiesel A2 7-String

今年の初めにKieselの6弦Ariesを買ってとっても気に入ったので7弦もオーダーしました。太陽をイメージした6弦に対して今回は月をイメージしたシルバー×パープル。KieselのCrescentインレイを見てからずっと夢見てた組み合わせです。
まずは実際に届いたギターをご覧ください。

美しすぎんか…?

スペック選びと実際の感想を書きます。

General Options

モデル
ちょうどA2(Aries 2)が発売されたタイミングだったので6弦Ariesとの差別化でA2に。左右非対称のボディですが重量バランスは非常に良くコンターも弾きやすいです。

スケール
このギターは基本ドロップAで運用するつもりなので25.5インチに。ドロップAってすごくバランスのいいチューニングだと思いますが、通常のハードテイル25.5インチではイントネーションが合わないし、バリトンだとElixir 09〜で1弦の全音ベンドができない。しかもKieselのバリトンは27.0インチです。イントネーション調整幅の広いEvertuneだからこそ選べるスケールだと思います。
ちなみにA2のバリトンはアッパーホーンがウニョって伸びます。海外のカブトムシみたいで悪くないんだけど25.5インチのほうがまとまりがある。

Body Options

ボディ材
6弦でマホガニーを選んだところやや軽過ぎたので、思い切ってもっとも重いウォルナットに。僕はボディ材は重さだけで選んでます。トータル3.5-4.0kgがベストだがどうなるか。
→実際の重量は4.2kgでした。4.5kgにギターで腰をやられた過去があるのでちょっと焦りましたが笑 しばらく弾いてますが今のところ大丈夫そうです。Evertuneにすると通常のHipshotハードテイルより6弦で300g、7弦ではその6分の7として350gほど重くなるので、このギターがハードテイルなら3.85kgとかですね。アルダーボディの公称重量が3.36kgなので、ウォルナットにしたことで0.5kgほど重くなったことになります。サウンドについては後述します。

トップ材
月の表面のクレーターをイメージしてPoplar Burlに。オーダーメイドで杢がハズレだとシャレにならないので$350追加して5Aにしました。ちなみに7A(=Master Grade)は+$700、さらに上位のK-Topは+$1200のアップチャージです。PoplarはBuckeyeほど当たり外れが大きくないので、予算的にも1グレードアップに留めました。

届いたのがこのトップです。中央はかなり派手ですがボトムはすこし寂しいですね。Kieselの5A Poplar Burlではもっと派手な杢目も見るので平均点でしょうか。とはいえボトムはカラーが乗っているのでそこまで気になりません。ナチュラルバインディング部分は全周きっちり杢が出ていて非常にゴージャスです。

引きで全体を見るとなんとなく実際の月面に近い構図で気に入りました。

これ以上を求めるとさらに$350の追加でトップウッドだけで$1,200になってしまいます。次回はバールでもっとも個体差が小さそうなBurled Mapleにしてみようと思います。

フィニッシュ
Translucent PurpleにCalifornia Burstを追加してます。Kieselの塗装は非常に丁寧で綺麗です。暗いウォルナットに乗ったパープルの月夜っぽさも気に入りました。

トップコート
グロスの方が合うかな?とも思ったけど、弾きやすく指紋が付きにくく写真撮る時も映り込みがないので今回もサテンマットに。

バインディング
ナチュラルバインディング大好きマンなので迷わず選択。クソほどドル高にも関わらず発注したのは、Labor Day Saleで$220のバインディングが無料だったからです。

全周にうっとりするほどコントラストの強いバールが出てくれました。

Neck Options

ネック材
Kieselのネックはすべてカーボン補強ロッドが入っていて、6弦は極薄の1ピースマホガニーでも驚くべき剛性でした。温湿度変化にも極めて強く数か月放置してもほとんどチューニングが狂いません。逆にAriesはモデル自体のサウンドがアタッキーなのでマホガニーネックにしてもウォームにはなりませんでした。
今回は7弦なので更なる剛性アップと見た目も兼ねて1ピースフレイムメイプルネックに。ウェンゲ系の黒い木はミッドがポコポコ鳴る感じがして好きじゃありません。

届いたネックがこちらです。こんなに細かく均一でジョイントからヘッドの先までビッチリ出たフレイムは見たことないです。これアップチャージなしですよ。恐ろしすぎる。やはりKieselは良い材を持ってます。EBMMならこのクラスは滅多に見ません。

ネックプロファイル
Thinner Neck Profileです。6弦はノーマルで1F=19.3mmとそもそも極薄なんだけど、7弦の公称値はノーマルで20.8mm、Thinnerで20.1mmとやや厚め。個人的には19.5mmくらいがベストだけどExtra Thinはできないとのことでした。
→実測値は1F=19.2mm、12F=21.3mmと極薄でした。公称の厚みより±1mmくらいは誤差が出ると思った方がよさげですね。図らずも理想的な厚みになりました。1Fと12Fの差が2mmというのも完璧です。Kieselは無駄のないCシェイプで、カーボンロッドと造りの良さから剛性も高く非常に弾きやすい。見た目も含めて完璧なネックです。

指板材
今回もリッチライトです。エボニーは希少材だしリッチライトはオイル塗布が要らず、選ばない理由がありません。何度も書いてますが質の良い代替材があるならわざわざ個体差の大きい絶滅危惧種の自然木にこだわる意味はないです。

指板R
20インチはさすがに平らすぎるので14インチに。ここは好みですが実際の演奏感はまったく問題ありませんでした。

インレイ
もともとこのCrescent Moonインレイからインスピレーションを受けました。Crescent Moonはアクリルのみですがパキッとした白で視認性が高いです。ただ1弦側は13フレットにインレイが来るため混乱します。ここは見た目重視なので目を瞑って弾きましょう。

フレット
7弦でもミディアムジャンボステンレスが正義。ジャンボはネックが厚く感じるので好きじゃないです。Evertuneなのであまりベンドを重視しないのもあります。

Electronics Options

ピックアップ
6弦ではJeff社長イチオシのLithiumセットにして、クリーンは立体感があり綺麗なもののややパワー不足だったため、今回はセラミックマグネットのIllusionist(ブリッジ)とEmpyrean(ネック)をチョイス。サウンドの感想については後述します。

コントロール
6弦では3wayトグルスイッチ+プッシュプルコイルタップにしたけど、その結果ノブの位置が意図せず変わってしまったのもあり、今回はデフォルトの5wayにしました。
「ポジション3は前後フルハムバッカーではなく前後コイルスプリットだよね?」と何度も営業に確認したので多分大丈夫。
→カバー付きなので正確に確認できていないのですが実際の音を聞いた感じPos.3は前後ハムバッカーっぽいです笑 ここは後々Modするかもしれません。

Hardware Options

ブリッジ
当然Evertune。

ハードウェアカラー
KieselではEvertuneはブラックしか選べず、ETを選択すると自動的にハードウェアもブラックに変更されるけど、メールで言ったらブリッジ以外のみクロームパーツに変更してくれました。ワガママを言ったのにブラックパーツ分の$40をディスカウントしてくれるという神対応。

Other Options

メールで追加したオプションは以下。
・5A Poplar Burl Top Wood:+$350
・ブラックパーツをクロームパーツに:-$40

支払金額

前回PayPal手数料4%で泣いたので、3.3%のVISAにて一括支払い。

ビルダーでの金額:$4,019
Labor Day Sale値引額:-$290
5A Poplar Burl:+$350
Chrome Hardware:-$40
送料:+$80
ここまで計$4,119

VISAでの支払額:625,882円
手数料込で1ドル=151.95円
手数料除いても147.10円(ドル高すぎる…)

消費税と手数料:18,100円(後日郵送で届きコンビニで支払い)
支払総額:643,982円

今回たまたまLabor Day Saleで$290オフが来たのでなんとか…って感じです。
できれば60万以内に収めたいのですが数万オーバーくらいなら妥協しない方がハッピーになれます。
ちなみにPoplar Burl Top、5Aアップチャージ、Flamed Maple Neckの杢目料金が3分の1を占めています笑

納期

2023.8.30:正式オーダーメール、支払い
2023.12.20:FedExの発送通知
2023.12.23:本体が到着
2024.1.22:郵便で消費税の請求書が到着
4か月弱で到着しました。公式がアナウンスしている「8-14 weeks」より少し遅れてますね。ちなみに6弦のときは2か月半でした。
今回は公式facebookのPhoto of the Dayには掲載されませんでした。

サウンドの感想

EBMMを集めていた時期は剛性の高すぎないギター(≒適度に鳴るギター)のふくよかさとか倍音の多さ、ローの量感が好きだったのですが、MayonesやSolarを買う中でギターに求めるサウンド像が変わってきていて、今回は重い・硬い・速いという典型的なモダンメタルサウンドを目指しました。歪みとダウンチューニングが前提の用途では、重量と剛性があるギターほど立ち上がりが速く、各弦・各フレットの音量バランスが良く、倍音が減ってコードの分離感や明瞭さが向上し、低音弦のピッチが安定します。これは軽量でネック剛性も低いMajesty 7やLegator Ninjaとの比較でより実感が持てました。重硬ギターは生音は小さいし単体で弾くとチリチリと冷たい寂しい音ですが、歪ませてバンドに入れるならばタイトな方が良いです。クリーントーンも煌びやかで安定して鳴ります。またEQバランスは今どきKemperやDAWでいくらでもいじれるので、事後補正がしにくいピッチ感やトランジェントを重視するようになりました。
Regiusをボルトオンにしたような、Duvellをメイプルネックにしたような、Jackson JuggernautのネックからMishaの好みを抜いたような、そんなギターを目指しました。特に最近買った中ではJuggernaut HT7がサウンド的にはベストと思ったのでこれにEvertuneを載せてもよかったのですが、ネックシェイプが独特なのもあり改めてKieselで理想形を作ったような形です。

重量を稼ぐためにウォルナットボディにしましたが、Evertuneと合わせて4.2kgとなりました。重さのためにボディ鳴りはかなり小さく抑えられています。ボディが鳴らないということは弦振動がロスなくPUに入るということでアタックとサスティンがスポイルされないため、特にメタル向けのエレキギターでは理想的です。実際に非常にレスポンスが良く速いパッセージにも機敏に応えてくれる7弦ギターになりました。

ネックも極めて剛性が高く、またかなり弾きやすくシェイプされたジョイント部もその薄さからは信じられないほど剛性が感じられて、造りの良さが伺えます。剛性から来る出音は狙い通りのものでMayonesのようにタイトで速いです。AriesやA2がそもそもウォームなギターではないのでローは引き締まっていてブゥンと鳴る感じはありません。Majestyなどの補強のない極薄マホガニーネックの場合演奏中にネックに力が加わるとネックがたわんでピッチがブレますが、ガシガシ弾いてもそうした不安は感じないほどしっかりしています。薄めのCシェイプでボリュートもないのに剛性がしっかり出ていて見た目も最高…まさに理想的なネックです。

またPUはハイパワーなセラミックのIllusionist/Empyreanとしました。出音は総合評価なので「PU単体の音」というのは特定し難いですが、ハイパワーすぎて飽和する感じもなくトランジェントが出ています。アクティヴのようにトランジェントが潰れる感じもありません。トランジェントが強くローがタイトでハイも出ているので、強いて言うならBare Knuckle PUに近い印象です。ただこれは本体がモダンすぎるせいかもしれません。

総合して、1本目のAriesの反省を活かしたかなり満足いくギターに仕上がりました。4.2kgの重量は今のところ腰に来てはいませんが重すぎると判断したらザグって軽量化するかもしれません。でもA2はバランスがよくてそこまで気にならないですね。
これ以上重量が増すと腰にダメージが入ってしまうので次はアルダーボディにしてみようと思います。実はもう発注していますので届いたらレビューします。

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