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とられた傘とのエピソード

先日、私は人生で初めて傘をとられました。

パートナーと食事に向かう電車の中で「僕は傘がとられても良いように安価なものしか持たない」という話をしていたので、見事な伏線回収になりました(笑)

既に雨が降っていたから、絶対に本人も傘を持っていたはずなのに、どうして持っていかれたのか……?と不思議でたまらなかった。
ビニール傘でもなく、傍にもっと高価そうな傘があったにも関わらず、どうして私の傘だったのだろう……?

私は怒りよりも、不思議でたまらなかった。
むしろパートナーや、家族の方が怒っていた。

私にとっては、ある意味面白い出来事だったので、とられた傘とのエピソードを書いておこうと思う。

とられた傘

私の傘は白地に3色の花柄、持ち手はゴールドの細身なタイプの傘だった。
ロフトで出会ってから、付き合いは7~8年といったところ。

私がこの傘を購入した理由は「マナー教室の先生なら、こんな傘を選ぶだろうな」と思ったからだった。

私は社会人になってからすぐ、マナー教室に通い始めた。

理由は簡単。

私の就職した職場が、社会人としてアウトだと思うことが多かったからだ。

先輩たちは愛嬌やノリ、この年齢の人には意見できないという雰囲気によるごり押しで、社会人としてのマナーが必要な場面を乗り切っていた。

愛嬌やノリで乗り切っている若い先輩たちを見て、いつまでそれが通用するのだろう?と自分の将来を重ねて不安になったりした。

だから、マナー教室に通い始めた。

マナー教室の先生は、花柄の上品なワンピースに身をつつみ、明るく染められた髪色と、完璧にセットされた髪とメイク、そして1本数万円するボールペンを当たり前のように使用する姿には隙がなかった。

しかし決して威圧的ではなく、かといって舐めてかかって良い相手ではないと思わせる雰囲気があり、フレンドリーで優しい話し方をする先生だった。

マナー教室の初回は、どういう自分になりたいか?という目標設定が主だったのだが、私はすっかり先生の虜になってしまった。

先生に少しでも近づきたいと思った私は、できれば同じようなモノを持ちたい、せめて値段は安くてもいいから、オシャレなものを持つようにしたいと思うようになった。

そんな時に傘の持ち方のマナーを学んだこともあって、傘を買い替えることにしたのだ。

そんな時に出会ったのが、白地に花柄、そして持ち手はゴールドで少し細身の傘だった。

先生が持つなら、きっとこんな傘だろうなと思って購入した。

別に私の何かが変わった訳ではないが、今まで安いからとか、家にあるからという理由で使っているものが多かった私にとって、素敵に見える傘を購入するというのは大きな1歩だった。

2,000円ほどで購入した傘は、他の人から見れば大した出費ではなかったと思う。

しかし、私にはこの傘は高価で輝いたものに見えていた。

それは、今まで自分には白や黒しか似合わないと思っていた頃に、憧れていた花柄の服を購入した時のような気持ちに似ていました。

その傘を使う時、私は憧れの人に近づけたような気持ちにさせてくれました。

そんな傘を使ってから数年の中で、服装や小物、靴などを選ぶ時の自分の基準も変わっていました。

私の今の課題は"自分の基準で選ぶこと"なので、もしかしたら先生に憧れて購入したというものは、自分の基準ではないため"もう卒業しなさい"というメッセージだったのかもしれませんね。


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