(読み切り小説)合わないメガネ
おっとっと、、イテテ💧
イスに座ろうとして思い切り外し
まぁまぁ大きな尻もちをついた私。
隣に座る同僚が
納期ギリギリの作業の手を止めてまで
心配する始末。
えっ、大丈夫?
あれ、昨日床ワックスの日だったっけ?
私のイスの滑りが良いせいなのかと
同僚は卓上カレンダーで
清掃業者が床にワックスを掛ける日を
確認したが全然、来週であった。
違うの、これ
これのせいなんだ💧
あら、メガネいつもと違うね👓
フレーム変えた?
ううん、えっと
フレームというか、そもそも
私のメガネじゃないんだこれ(笑)
という会話が懐かしい。
なんならもうあまり思い出せない程に
長い月日が流れた。
『賽の河原停留所・三途の川行き』
朝もやか夕闇か分からないけれど
とにかく霧がずっと濃いここは
あの世の入口。
打ち捨てられたような朽木の
停留所の看板が不気味さを演出し
頭上には沢山のカラス
まぁ場所が場所だけに納得はいく
誰かが積み上げた賽の河原の石タワーが
カラカラと崩れたりして縁起が悪い
総じて何て恐ろしい場所なの、ここは💧
とにかく早く来ておくれ!
私はポッケの中のメガネを握りしめて
岸の向こうに目を凝らした。
『会いたい故人に届けたい品を
形見として最後まで大事に所持したなら
あなたの最後の日、その形見の持ち主が
必ずや現れて再会出来るでしょう。』
結婚式直前に交通事故で亡くなった
私の恋人(泣)
トラックに弾かれ何故か彼のメガネだけ
道路脇の植え込みに投げ出され無事だった。
メガネが無いと困るよね
不便だよね、見えないし(泣)
だって私もメガネだから分かるもん!!
喪失感からか
そんなうわ言を言いながら
すがるように彼のメガネと暮らした。
しばらくして
神なんて居ないとやさぐれながらも
ふと気まぐれで引いたおみくじに
形見の品を三途の川まで肌身離さず的な
良く分からない長文が書かれていた。
で、今ここ(笑)
いや、死んでみないと分からないもんだなぁ
三途の川とかリアルにあるなんて。
そうしたらあれかな。
形見のメガネの彼が向こう岸から
私を迎えに来るんだよね♡
今か今かと待つ内に
ギィィ〜〜ギィ、ギコギコ。
一隻の船が見えて懐かしい彼の姿があった。
お〜い、久し振り会いたかったよ〜。
私も!長い間待たせてゴメンね。
てか、あなた自身が船頭してんの?
うん、何かそういうシステムみたいで。
ふーん、で、ちょっと待って何処行くの
もっと右、右だよ
えっ、ひょっとして見えてない感じ?
そうだよ、だってメガネ無いもん👓
オレ、裸眼0・1無いし。
私は誇らしげに
彼のメガネを高らかに掲げた。
持って来たよ〜、あなたのメガネ
こんな事もあろうかと👓
わぁ、大事な形見の品にオレのメガネを!?
なんて優しい、君は最高のパートナーだ♡
私たちはようやく再会の日を迎える。
とりあえず、メガネ無しの彼を
上手く岸までナビゲートしたらの話だが(笑)
こんなに長い歳月待ったんだもの
五里霧中な彼の視界を
私でいっぱいにするまで
根気強く遠隔操作してみせようぞ♡
補足)
メガネ無いと本当に大変ですよね👓
ちなみに私は最近老眼が益々進んで
もっと大変ですが(誰トクな情報・笑)
メガネ、コンタクトに加え
何かあれ、夢グループの社長オススメ
拡大鏡メガネ(LED付き)とか
欲しくなっちゃうかも👓
脳内BGMは
スピッツ「みなと」「遥か」でした
勝手にSpecialthanks♪
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