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おすすめ記事・レビュー

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ここを読んでいっこも興味がわかなければ、残念ながらぼくはあなたにとって価値がない。
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記事一覧

【読書記録】ヴァージニア・ウルフ「灯台へ」

文学を学んでいないから、ちゃんとした文章の書き方も、おさえておくべき古典も知らない。 ブックオフでそれっぽいオーラを出してたら「さては古典やな」というのが僕の文学に対する姿勢です。 だから英文学で重要な、ヴァージニア・ウルフという方も全く存じ上げず…。 すごく良かった。 今思えば、ドストエフスキーを読んでたときは無理してた。通好みとされてる音楽や味付けを、わかったフリじゃなくて、 「あ!これ好き」と思ったし、小説を読んでる充実感があった。 ふつうの小説だと主人公の行動と心

【ゲームレビュー】パニック障害になった人が「セレステ」をクリアした

うつ、パニック障害を抱えた主人公マデリンが何百回もリトライして山を登るゲーム「セレステ」。 今さらクリアして、あまりにこのゲームが美しく面白く、夜通しやったせいで指も肩も激痛を抱えてるってのにレビューを書いている。 なぜなら私もパニック障害経験者で、症状は出てないものの薬を常に持つ身。レビューしない手はないのです。山はいいぞ!すがすがしい疲労!今ならXBOXゲームパスでも遊べる!PS5PRO買わないのに高いとか文句言うヒマがあればセレステ山に登れ!しっくりくる方向キーは必須!

【読書日記】「三四郎・それから・門」

「それから」を読んだ。学校で「坊ちゃん」を勧められても読まなかった記憶があるのに、大人になって、自分で読みたいから自分で稼いだ金で文庫本を買って、1日2行しか進まない日もあるけど、少しづつ、自分で読みたいから読むことができた。 読書感想文でもない、作者の考えを読み取るでもない、ただ100年前の人の言葉使いとか、文章が好きだから読んだだけ。 この時代とは人生の長さも、きいてる音楽の速さも違うのに、心地よい会話のリズムが同じなのはなんでだろう、と思いながら。 「それから」は

大空スバルの配信を見ながらスト6の話がしたいんじゃあ!!!

ゲーミングモニターを新しくして、序盤だけでやめていたストリートファイター6を再開した。 やればやるほどシステムが理解できてきて、ギクシャク同じ行動をとっていたキャラが躍動していく。 オンライン対戦で勝つと、ブロンズ、シルバーと肩書きが変わるんだけど、ゴールド帯の戦場を突っ切るまで続けたい。 前作ストリートファイター5のときは、格闘ゲームはだいぶ衰退していて、そのときのウメハラさんの配信と1年後の大空スバルを続けて観ると、高低差でめまいがする。 日本初のプロゲーマーの配信に

すばる7月号を学校の図書室に置こう

すばる7月号を読んだ。 李琴峰さんのアイオワ滞在記が良すぎて共有したいので、ここだけでもカッターで切り取って小冊子にして全国の高校の図書館に吊るそう。 アイオワ大学で、反LGBTQの活動家が講演をすることに、大学生たちが一斉に抗議する。 コールで、アートで。それぞれのスタイルで反差別を態度で示し、近所の車はクラクションを鳴らし、武装警察まで巻き込む騒ぎ。 その一部始終をその場にいるような迫力で記す。 もちろん「楽しい」話ではないけど、日本の学校の冷めた感じを経験したから、学

テレビを売ってゲーミングモニターを買い、10歳若返る

「成功者ほど大きいテレビを持つ」と子供のころから刷り込まれていた。 レトロゲームがレトロじゃなかったころから、「これを大画面テレビ様で遊べばどんなに楽しいだろう」と夢見てた。 そんな自分がまさか、まさか大好きなテレビを手放してゲーミングモニターを買うなんて。 自分の変化を認めて免許を返納するのはこんな気持ちだろうか。 選んだのはBenQのMOBIUZ。 XBOX/Sと組み合わせて、ゲームを一番コスパ良く遊べる。ゲームは無駄遣いを極めるほど美しいんだが。 今まで使ってたテレ

【Vtuber】ネクストブレイクゲー「岩おじ」の撮れ高がひとくちで喰われた夜

ひたすら岩を転がして坂道を上るゲーム「The Game of Sisyphus(岩おじ)」が静かな流行になりそうだが、なる直前で終わったかもしれない。 岩おじは、神話のように何時間も岩を転がして山を登らされ、しかし一瞬のミスで岩が転がり落ちて無に帰す「苦行系ゲーム」である。 昔のシューティングゲームで、3面のボスが急に強くなるものは、もともとゲーセンで、5分くらい遊んだ人を脱落させる設計になっている。 その逆だ。 あえて長く、話しながら遊ぶ配信前提ゲームの時代がきている。

Tシャツから逆算して本を選ぶ

フィリップ・K・ディックのユービックという小説を買った。 ハヤカワSFが出しているTシャツになっている。 意味のわからない英字や思想の服を着るのが嫌だ。 特にTシャツって自分を表現するものだから、ニルヴァーナのロゴをバンドだと知らずに着てたり、知らないメジャーリーグのチームとか読めない外国語とか、そういうのを身につけるのが嫌。 迷彩やARMYとか戦争に関連したデザインが入っているのも、すすんで着たくない。 服のセンスはないのにそういうこだわりだけがある人がゲームや本のデ

スター発掘番組、R1グランプリはもう「夢がある!」と言わなくていい

正直、びっくりした。 あの、毎年面白い人が軽くすべらされるR1が、ネタ時間1分増と出演者の個性で2024年は見違えるほどいい番組になっていた。 R1の「優勝しても報われない大会」ムードが薄れたのは、YOUTUBEの影響だと思っています。 佐久間信之や、こたけ正義感の逆転裁判実況のおかげ。 こたけの逆転裁判がバズってると聞いたとき、 「あ、その名前どっかで見たことある、R1か」と引っ掛かりができてた。 R1で登場後、バラエティで大活躍とはいかないけど、長く自分の得意分野で活

デッドアイランド2で定期的に街を焼くと健康に良い

Xbox買ったら絶対遊べ。 デッドアイランド2の紹介をする。 残酷描写のため日本では販売されていないが、パルワールドとか遊ぶために月額千円ほどのゲームパスに加入している人なら、居住地を欧米に設定するだけで遊べる。 今時ゾンビもの?と思ったけど、これが楽しいのなんの。 崩壊したロサンゼルスでゾンビの抗体を持った主人公が拾った武器で闘う。序盤が多少硬派すぎるが、進むほど強く、爆殺手段は多才になる。 あらかじめ道に燃料を撒いておいて火のついたバットで一双!ドロップキックで電気

西村亨「自分以外全員他人」で人生からドロップアウトしたくなった思春期に戻る

たぶんですけど、みんな意味もなく人生からドロップアウトしたいと思った日々があったはず。あっても口にしないだけ。何度も人生が無意味だと思った日があるはず。 年齢を重ねて「しんどいこともあるけど、見たいところも好きな人もいるしボチボチ生きていこう」とか思いながら生きているうちに、若いころの憂鬱なんてなくなって長生きを望むようになるもんだと思う。 「自分以外全員他人」は、若いころからうっすら死にたい気持ちのまま40代になった主人公が、いまでも「消えたい気持ち」をかかえたまま、保険

【地味ゲー】While the iron's HOTを続けているやつ、俺ひとりかもしれん

鍛冶屋が主人公の「クラフトRPG」が絶妙に面白くなくてずっと続けてしまう。 雲に覆われたフィールドをひらき、出会った村人の依頼に沿って物を作ったり、お供の牛を引き連れて何かあるかわからないフィールドを切り開いていくのだ。 村人のリクエストにそって、鎌やハンマーがほしい人がいれば鋼と木材を装置に正しく置いて軽いミニゲームをこなしてひたすら作っていく。 鋼や鉱石を適切に使えば「ダマスカス」や「ガラス」の原料を生み出すことができる。 さらに違う材料を生み出して、用途のあまりな

流行語大賞がとらえる間もなく「エッチ」がひらがなの「えっち」にすり替わっていた

とあるラジオを聞いて耳がぴくんとなった一言。 「中年男性がセックスのことをエッチと言うのが気持ち悪い」 私はそんな会話する機会がないけど、 死語が生まれる瞬間ってこんななんだ!意識してないと、いつの間にか自分も死語と知らずに使う側に流されるんだ!と思った。 「セックス」なんて口に出して言っていいのは、海外ドラマの 「セックスアンドザシティ」 の話題のときだけだと思っていた。 それも前方にアクセントを置かずさらっと。 「セックス」を日本人が口に出すのはタブーだった。 その

「龍が如く7外伝」クリア。初めての桐生ちゃん、初めての価値観

未来の宇宙を飛び回る「スターフィールド」で、巨大なスケールのどぎついネオンの宇宙都市を観たとき 「サイバーパンクだ。すごいけど知ってるやつだ」 としか思わなかった。 なのに「龍が如く7外伝」の大阪で、巨大フグやらカニやらが並んで、串カツ屋を持ったおじさんの巨大な人形が立ち、立体のタコとたこ焼きをあしらった建物、その横で平然と無表情な学生たちが歩いている空間に立つと、 「こんな狂った都市が実在するわけがない」 と思う。 ゲーム用の誇張か、リアルの大阪か、わからないところがい