贈り物には超実用的なトイレットペーパーが韓国式(ドラマ『賢い医師生活』について#6)
『賢い医師生活』について、6回目です。今回は韓国のお祝いの定番、トイレットペーパーについてです。韓国ドラマでは引越し祝いや手土産としてよく登場します。
『賢い医師生活』第5話で、主人公5人と同じ病院で働く胸部外科医で倹約家のト・ジェハク(チョン・ムンソン)が定期預金の満期を迎え、銀行からトイレットペーパーをプレゼントされるシーンがあります。こんな大きな日用品を窓口で渡されるなんて、日本の人は驚くかもしれませんが、韓国ではお祝いや贈り物にトイレットペーパーを渡すのは一般的なのです。
ドラマ『賢い医師生活』からのキャプチャー画面。
ちなみに、ジェハクの定期預金の使い道は高額の保証金を払えば家賃は不要。韓国ならではの賃貸システム「チョンセ」って?(『賢い医師生活』について#3)で書きましたが、希望通りの新居生活を送ることができたら、もっとたくさんトイレットペーパーをいただいたことでしょう。
韓国では、引越しをすると友だちや知人を招待してホームパーティーを開きます。とくに結婚による新居への引越しやマイホーム購入のときのホームパーティーを「チプトリ(집들이)」と言い、その際に持参するお祝いとして代表的な品がトイレットペーパーなのです。
韓国ドラマや映画では、引越し祝い以外でも、他人の家に招待されるとトイレットペーパーを買って行くシーンがよく出てきます。トイレットペーパーは引っ張ると延々とほどけます。「よくほどける」は韓国語で「ザルプルリダ(잘 풀리다)」。これが「うまくいく」という韓国語と同じ発音なので、新しい家に引越してからはすべてのことがうまくいくようにと、トイレットペーパーが引越し祝いの定番プレゼントになったのです。
プレゼントでいただいたトイレットペーパーだけで、2年も買わずにすんだという夫婦の話を聞いたときは、韓国人である私もさすがにビックリしましたが、トイレットペーパーならどの家でも使う日用品なので、もらう側もうれしいと思います。
急に他人の家を訪れることになりお土産が準備できなかった場合も、近所のスーパーやコンビニで手軽に買えるトイレットペーパーや洗剤などの日用品を買うのは一般的。そのため、映画やドラマにはトイレットペーパーを手に持って他人の家に行くシーンが多いのです。
韓国ではトイレットペーパーの商品名で「うまく行く家」という意味の「ザルプルリヌジッ(잘 풀리는 집)」もあります。
もちろん最近は引越し祝いのプレゼントはさまざまで、日用品ばかりではなくなっていますが、そんな風習を知ると韓国文化がもっと面白くなり、韓国人との会話も広がると思います。
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