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『新感染 ファイナル・エクスプレス』は『釜山行き』…韓国映画の邦題・ポスター比較【韓国&日本のエンタメ|プロモ文化の違い#映画編1】

 안녕하세요(アンニョンハセヨ) 南うさぎです。 

 韓国ドラマを日本で放送する際のタイトルやビジュアルの違いをこれまでご紹介してきましたが、今回は映画です。

 韓国に限らず、映画も輸入する国によってタイトルやポスターが変わることはよくあります。どんなビジュアルやキャッチコピーになっているかで、その国の現在のトレンドや文化を読み取ることもできます。ここでは、タイトルやキャッチコピーがもとと違う作品を中心に紹介したいと思います。詳しいあらすじは書きませんので、まだ見ていない映画もポスターだけでイメージやストーリーを推測してみるのも面白いのではないでしょうか。

 韓国映画を日本で、日本映画を韓国で公開するケースがだいぶ増え、お互いの国のエンターテインメントへの関心がますます高くなっています。それぞれ、お互いの国にどのように伝えているか、どのような映画が好まれているのかも見えてくると思います。作品比較の前に、最近の韓国映画ポスターの特徴を簡単に紹介します。
○タイトル
 タイトルは原作と変わるケースも多くあります。その評価は人それぞれですが、原作のタイトルがどうしてこういう風に変わったのかを推測してみるのも面白いと思います。
○シンプルなビジュアル
 編集を加えずシンプルなビジュアルが多くなっています。映像美だけを強調するケースも多くみられます。
○簡潔な説明
 どのような内容の映画なのかがわからないようにストーリーやジャンルを明かさないものが多いです。とくに最近はジャンルミックス作品も多く、サプライズの楽しみも与えるため、あえてはっきりさせない傾向があります。
○サブポスター
 メインポスター以外にサブポスターとして、いろいろなバージョンのポスターを制作しています。最近は映画館だけではなくOTT(ネット配信プラットフォーム)で発信することも多いので、同じ映画でもさまざまなバージョンのポスターがあることで観客の目を引くと思います。また、イラストなどのスタイルも登場し、ますます新しい挑戦が増えています。
○日本語表記
 日本映画の韓国公開版では、韓国語のタイトルとともに日本語タイトルが書いてあることが多いです。原作が持っているイメージをなるべくそのまま伝えようとする傾向がみられます。

韓国映画の日本公開版

※使用写真はすべて公式サイトからの流用です

殺人の追憶

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*日本版タイトル: 殺人の追憶
*日本版キャッチコピー: おまえが殺ったことを憶えているか?
 1986年-1991年、韓国のある農村で10人の女性が殺された。3000人の容疑者が取り調べを受け、180万人の警官が動員されたがたった1人の犯人はまだ捕まっていない……
*日本公開日:2004年03月27日

*韓国版タイトル: 살인의 추억 (殺人の追憶
*韓国版キャッチコピー:連続殺人実話劇
1986年田舎町、二人の刑事には全てがはじめてだった。
*韓国公開日:2003年4月25日
*観客数:約520万人

*第40回大鐘賞で最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀主演男優賞(ソン・ガンホ)を受賞した。2019年9月に日本で舞台化されました。この映画から始まったソン・ガンホとポン・ジュノ監督の縁は20年近くになり、ソン・ガンホはポン・ジュノ監督のペルソナとされています。

*この映画は実際の未解決事件を元に作られていますが、2019年、別の事件で服役中だった50代の男性と最後の犯行現場で発見されたDNAが一致したことで32年越しで真犯人が特定されました。

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*英語版タイトル: MEMORIES OF MUDDER
第51回サン・セバスティアン国際映画祭で国際映画批評家賞、新人監督賞、FIPRESCI賞受賞

あの日、兄貴が灯した光

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*日本版タイトル: あの日、兄貴が灯した光
*日本版キャッチコピー: アニキがいれば、もういちど笑える気がする
視力を失い、夢を失った弟。その瞬間に一筋の希望を灯したのは最低な兄貴との再会だった。
*日本公開日:2017年05月19日

*韓国版タイトル: 형(兄貴
*韓国版キャッチコピー: 2016ブロコメディー
他人ならいいのにどうか! 俺たち他人なの?
他人より劣る兄弟の予測不許同居が始まる!
*韓国公開日:2016年11月23日
*観客数:約298万人

*コメディーを強調している韓国ポスターと感動を強調している日本のポスターが対照的です。韓国では感動の要素をあえて隠し、日本はコメディー要素をあまり出していないので、どちらも見る側に反転の要素を与えていると思います。

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*サブポスターのキャッチコピー
左:“去ってくれる?ブラザー“ 15年ぶりに兄貴が帰ってきた
中:“ブラザー、もうやめて!” 敵は兄弟たち 私を狂わせる
右:2016年ブロコメディー 
11月、魔性の兄弟が笑いの責任を取る!“兄貴だけを信じて!”

*最近、韓国では出演俳優個人のポスターがあるパターンが多く、ファンにとってはとてもうれしいと思います。

母なる証明

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*日本版タイトル: 母なる証明
*日本版キャッチコピー: 永遠に失うことのない母と息子の絆。
 全ての“謎”の先に“人間の真実”が明らかされる。
 殺人事件の容疑者になった息子を救うため、新犯人を追う母親の姿を極限まで描く、ヒューマン・ミステリー
*日本公開日:2009年10月31日

*韓国版タイトル: 마더 (マザー
* 英語タイトル:mother
*韓国版キャッチコピー:息子の殺人容疑、母の死闘
誰も信じないで 母が救ってあげるよ
*韓国公開日:2009年5月28日
*観客数:約298万人

新感染 ファイナル・エクスプレス

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*日本版タイトル: 新感染 ファイナル・エクスプレス
*日本版キャッチコピー: 何があっても、守り抜け!
 生か死かー 終着駅まであと2時間 時速300km超のノンストップ・サバイバル!
*日本公開日:2017年09月01日

*韓国版タイトル: 부산행 (釜山行き
*韓国版キャッチコピー:前代未聞災難ブロックバスター
最後まで生きなさい
*韓国公開日:2016年07月20日
*観客数:約1157万人

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*英語タイトル:TRAIN TO BUSAN
*カンヌ国際映画祭特別招待作品

国際市場で逢いましょう

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*日本版タイトル: 国際市場で逢いましょう
*日本版キャッチコピー: “大丈夫だ“と笑って見せて、“よかった”と涙ぐむ。
 家族のために懸命に生きてきた、父の背中がそこにはあったー
*日本公開日:2015年5月16日

*韓国版タイトル: 국제시장(国際市場
*韓国版キャッチコピー:その頃その時代、強く生きていった私たちの物語
*韓国公開日:2014年12月17日
*観客数:約1426万人

エクストリーム・ジョブ

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*日本版タイトル: エクストリーム・ジョブ
*日本版キャッチコピー: 歴代興行収入No.1の記録的メガヒット!
CHICKEN SHOP PART-TIME昼はチキン店
UNITED COPS FULL-TIME 夜は潜入捜査官 
*日本公開日:2020年01月03日

*韓国版タイトル: 극한 직업 (極限職業
*韓国版キャッチコピー: チキンを掴むのか犯人を掴むのか
*韓国公開日:2019年01月23日
*観客数:約1626万人

 まだまだあるので、次回記事でも続けて比較していきたいと思います。

 안녕!

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