見出し画像

朝のカラス、欠けた食器、引っかけた靴…韓国のジンクス(『キム秘書はいったい、なぜ?』について#7)

『キム秘書はいったい、なぜ?』について7回目は、韓国人が気にするジンクスや迷信についてお話しします。

 12話で、ヨンジュン(パク・ソジュン)は朝食のとき、コーヒーコップにひびが入っているのを発見して「今日は用心しよう」と言います。ヨンジュンは、食器が欠けていると必ずよくないことが起きるという自分のジンクスをミソ(キム秘書:パク・ミニョン)に話します。続いてミソが出かける際靴のヒールを引っかけて傷をつけてしまい、自分のジンクスはこれだとヨンジュンに話しました。

 韓国では昔から、欠けている食器を使ったり食器が割れると何かが起きるとして、その日は用心しようとする傾向があります。食器だけではなく鏡も同じです。古代では鏡や食器は貴重な物だったため、慎重に扱うようにという意味だという説があり、その理由ならわかるような気がします。

画像1

ドラマ『キム秘書はいったい、なぜ?』からのキャプチャー画面。

 ジンクスを信じないヨンジュンの友人のユシク(カン・ギヨン)は、カラスを見てカップを割り靴に傷をつけたが悪いことではなくよいことが起きたと話します。朝にカラスを見たり鳴き声を聞くのもよくないジンクスのひとつと言われています。実際に韓国でカラスを見かけることはそんなに多くないのですが、カラスはあの世とこの世を行き来し、悪い便りを伝えるという説があります。逆に鵲(カササギ)はいいジンクスとされ、鵲を見るといい頼りを聞くと言われますが、日常では鵲を見かけることもそんなになく、昔から伝わっている言い伝えでも、ユシクのように現代ではそんなに気にする人はいないようです。

 また、欠けたり割れたりした食器はもう使わないのが当たり前でしたが、その意識も変わりつつあります。最近、韓国では欠けた器を生まれ変わらせる日本の伝統的な修理方法「金継ぎ」文化が浸透してきています。本が翻訳されたり金継ぎのワークショップが開かれ、評判がいいです。韓国にはない文化なので、「金継ぎ」はそのままの読みの「킨츠키」と書きます。そのように昔は悪いジンクスと言われたものも、今は時代とともに意識も変わってきています。

画像2

ナカムラクニオの「金継ぎ手帳」韓国版(写真は www.yes24.com から)

昔から伝わる面白いジンクス

*わかめスープを飲むと試験に落ちる:単純にわかめが滑らかだからすべるということ
*赤い色で名前を書くと死ぬ:中国では皇帝だけが赤い色で署名をしたので皇帝以外は赤い色を使わないようにするために伝わったと推測されている
*男が手羽先を食べると浮気する:飛んでいくという意味。また昔はお肉が貴重で、しかも女性がお肉を食べる機会があまりなかったのでこのような迷信を作り、女性もお肉をたべるようにしたという説もある
*恋人に靴をプレゼントすると逃げられる:他のところに行くという意味

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?