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疑似ドールアイ加工

ⅩⅩⅨ,疑似ドールアイ加工

最近は武装神姫にも使えるサイズのドールアイが本当に入手しやすくなってきました。
その昔は、ドールアイはイベントなどで買う他はなく、価格もそれなりに高価な上に種類やサイズは少なかったので、今よりはるかに敷居が高かったものです。
そのため、当時は疑似ドールアイ化加工という工法がありました。
これはドールアイがなくてもドールアイ風のアイが作れるという表現方法で、加工難度もドールアイ化加工より簡単だったので、作例はいくらか見ることが出来たのを覚えています。

現在は1/12サイズのドールアイは安価に、boothなどで手軽に入手することが出来るようになったので、敢えてこの方法を紹介しなくくとも・・・と思い、記事にはしていませんでした。
しかし、昨今は美少女プラモにもタンポなしフェイスやアイデカールが付属するようになり、疑似ドールアイ加工も挑戦しやすい環境が整ってきています。
加えて、疑似ドールアイにはドールアイ加工とは異なる利点も少なくありません。

よって、今回は敢えて時代に逆行し、疑似ドールアイ加工のやり方やメリットをご紹介します。
もしご興味おありでしたらお付き合いください。
また、もしそうでない向きの方がいましたら、年寄りの昔語りや当時の記録のひとつとしてご笑読くださいますと幸いです。

「疑似ドールアイ」ってなに?
疑似ドールアイとは、ドールアイを使わずに、それっぽく見せるための加工です。
ドールアイ化加工については以前記事にしていますので割愛しますが、疑似ドールアイ化加工はドールアイ化加工とは全く違う作業になり、加工難度も大分簡単です。
というのも、作業としては大まかには、アイペイントをされたフェイスや、あるいはアイデカールの上からクリアレジンを半球状に盛りつけて硬化させるだけだからです。

これをすることで、ドールアイ特有の追視効果(視点を変えても、ドールの視線が常に追いかけてくるように見える効果)程ではなくとも、レンズ効果によってアイが見える角度が増えるので、アイの存在感が上がります。
また、ドールアイ化加工とは異なり、元のフェイスペイントをそのまま使うこともできるため、元の雰囲気を残しやすいです。
そのため、シリーズで所有しているキットにひとつだけ疑似ドールアイが混じっていても違和感が少なくなります。
加えて、疑似ドールアイは簡単にカスタマイズが出来るうえ、種類もそれなりに豊富なので、自分の嗜好が反映しやすいのも特徴です。
(そのため、敢えて疑似ドールアイ化加工の方法を紹介する意味もあるのかな、と思ったので今回の記事に着手しました)

使用する材料と道具
さて、それではいつものように道具と材料の確認から行きましょう。

材料
絶対必要なもの
・フェイスパーツ
・UVクリアレジン(無色のもの)

カスタマイズに必要なもの
・アイデカール、アイペイント用品(塗料、筆、溶剤等)

・レジン着色用染料

・グリッター、オーロラシート等(レジン封入用)

まずは土台になるフェイスパーツと、盛り付け用のクリアレジンは必須です。
フェイスはデフォルトのアイペイントを使いたいのか、デカールなのか、ご自身で描いたペイントフェイスを使いたいか、お好みで選んでください。
盛りつけ用のクリアレジンは無色透明のものを使いますが、例えば黒眼球のように白目部分に色を入れたい場合は好きなカラーを盛っても大丈夫です。
その場合は、レジン層が薄いときれいに発色しないので、レジン染料で好みの濃度に調整する方がきれいに仕上がります。

また、無理にレジンで発色させなくても、アイペイントの上からご自身で色を塗ることもできますし、デフォルトのアイペイントに描き加えることもできます。
例えば、ハート目や星目などがそれですね。
さらに、手描きで模様を描き加えるのは難しいという場合は、100均のネイルコーナーで扱っているグリッターを封入してしまうのも方法のひとつですし、オーロラシートを切り出すなど、自作のグリッターを使うこともできます。
その場合は、グリッターを固定する用の木工用ボンドなど、デカールやアイペイントを痛めにくく、作業時間を確保できる遅乾性の接着剤があると便利です(瞬間接着剤はデカール等を痛めやすく、すぐ硬化してしまうので、この作業にはお勧めできません)。

道具
必要なもの
・UVランプ
・シリコンブラシ、瞬間接着剤用スティックなど(レジンを盛る用)
・綿棒

必要に応じて用意するもの
・筆や筆洗等(アイペイントに必要なもの)
・筆や水用の容器(デカール作業に必要なもの)

普段のレジン作業はUVランプは必要なら用意する枠でしたが、今回は必須だと思ってください。
というのも、レジンをアイ部分に盛ると、スピード勝負になる面があるからです(詳しくは後述)。

レジンを盛る道具はご自身の使いやすいものを使ってください。
出来たら木製の爪楊枝や竹串は避けた方がいいでしょう。
木製品は中に空気が入っているので、レジンに触れた時に気泡を残すリスクがあるためです。
ぼくはポリエチレン製のスティックか、かぎ針を使っています。
どちらも中に空気を含まず、未硬化のレジンを拭き取れる、硬化後も剥がすのが容易で、先端形状も撹拌に適した平板と、レジンの雫を掬うのに適した鉤型です(直線的な形状よりも、かぎ状の方が付着するレジン量が多い)。

綿棒ははみ出たレジンをふき取るためにも必要ですし、アイペイントやデカール作業をする際にも必要なので、あった方がいいでしょう。

あとはアイペイントやデカールなど、ご自身の作業に必要なものを適宜用意してください。
(アイペイントの変更とデカール作業は別に記事がありますので、必要な方はそちらを参照してください)

ちなみに今回は例として、以下のように作業します。
1.デカール貼り
2.手描きの描きこみ
3.グリッター封入
4.レジン盛りつけ

加工手順

1.デカール貼り付け
デカール作業は以前の記事に詳しいので、簡単に触れるに留めます。
今回はタンポ印刷なしのフェイスパーツを使いますので、口元にも色を差します。

そして、必要なデカールを切り出して水に潜らせ、デカールが浮いてきたら筆で取り、フェイスに乗せて位置を微調整。
位置が決まったら綿棒で余計な水分を取り、固定します。
調整時には髪パーツと合わせて位置決めをすると、「いい位置だと思ったら前髪で隠れてしまった・・・」という悲劇を防げます。

今回はついでに、目尻に白でハイライトも追加しました。

2.手描きでの書き込み
デカールが乾燥したら、目の中に手書きで模様を描きこみます。
今回は瞳の中に濃茶でラインを書き足しました(画像失念)。
ついでに、きちんと手順を踏むなら、デカールと手描きの描き込みが済んだら、一回つや消しのトップコートを吹いてデカールが剥がれないよう保護する方が良いと思います。
今回は「目の上からレジン盛るし剥がれないでしょ」と気楽に作業していたら、レジンコートされない眉と、眉と目の間部分が割と目立ってしまうことに後で気づいたので、まぁきちんとひと手間かけた方が美しく仕上がります。

3.グリッター封入
模様書き込みが済んだら、好みのグリッターを目の上に配置し、木工用ボンドやセメダインの貼って剥がせる接着剤(セメダインBBX)などで固定します。
この時に使う接着剤は仮留め程度でいいので、極々少量だけで十分です。
多すぎるとグリッターがアイから浮いてしまうので、瞬着用ポリエチレンスティックや竹串のようなものの先端にほんのちょっとつけて、薄く点付けしましょう。
今回はオーロラシートの円を、瞳の上に配置しました(やはり画像失念)。

4.レジン盛りつけ
デカールや手書き、グリッター封入をしなければ、疑似ドールアイ加工での作業と言えるものはこれだけです。
アイの全体の上に、半球状に盛り上がる程度のレジンを盛り、UVランプですぐに固めます。

先程少し触れましたが、この作業はスピード勝負です。
というのも、この作業でレジンを半球状に盛り上げる必要があるのですが、レジンは粘度があるとはいえ時間が経つと重力に引かれて流れてしまいます。
すると、半球の径は外に広がり、その分高さはなくなります。
なので、出来たら少しずつ様子を見ながらレジンを盛りつけ、都度都度硬化させる方が理想の形は作りやすいです。
「両目にレジンを盛ってから硬化させよう」と考えていると、両目の作業が終わった時には、先に作業した方の目のレジン層は外に広がってしまっているでしょうから。

しかし、あまりにレジン層が薄く、多層構造になると今度はレジン同士の食いつきが弱くなり、上の層が剥がれてしまうこともあります。
単に剥がれるだけならリトライはできますが、デカールやペイントが損傷すると、手直しするのは非常に手間です。
故に、理想的には「短時間に出来るだけ少ない回数でレジンを盛って、理想の形を作ること」になります。
まぁ、実際には何回か練習してから本番に臨む方がいいと思います。
また、レジンがはみ出してしまったら綿棒などでふき取ることもできますが、この際にデカールが一緒に動いてしまったり剥がれてしまったりすることもあり得ますので、慎重かつ素早く作業を終えるようにしましょう。

ここで両目とも、レジンがしっかり硬化すれば完成です。
盛りつけたレジンは3~5分程度UVに晒して、しっかり硬化させましょう。

右目にはオーロラシートの遊色効果が出ているのが分かると思います。
左目の方は反射が抑えられているので、逆に瞳の中に描き込んだ放射状の線が見えていますね。

レジンを盛った部分は元々凹面でしたが、レジン層が凸レンズのように盛り上がっているため、このような角度からでもしっかりとアイが主張をしてくれます。
今回はハイライトも手書きで一点ずつ入れましたが、これだけキラキラしてくれるなら、なくても良かったかもしれませんね。

いかがでしたでしょうか。
疑似ドールアイはレジンを盛るだけでも出来るので、近年は100円ショップで必要なものはほとんど揃ってしまいますし、レジン加工が身近になって敷居は大分下がったと思います。
また、デフォルトのアイペイントやデカールを流用することでシリーズの統一性は保ちつつ、グリッターや手描きなど、カスタマイズの工夫も出しやすいので、「ちょっと個性を出したいけど、どうやったらいいか分からない」という方にはお勧めの加工です。

「ドールアイを導入するのは難しそうで不安だけど、この方法なら出来るかも!」という方の背中を、少し後押し出来れば、ぼくも嬉しく思います。

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