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ポルトガルへ行った話。(3)ときめきのポルト

2018/12/9 23:08

二日目の朝はホステルのシンプルな朝食で始まった。果物とパンが何種類か、そしてヨーグルト。ハムとチーズ。それからコーヒー、オレンジジュース、牛乳というシンプルなビュッフェ。このぐらいの質素さが、旅の朝にはちょうど良い。食べ過ぎず、体の調子を整える食事。


二日目は観光名所を回ることになった。
ホステルを出てすぐのお土産やさんに立ち寄る。ポルトガルのタイル模様が大好き。このお店でポストカードを何枚かと、妹とママと私のお揃いのお土産を買った。早く渡したいな。

ポルトはとにかく、どこにいっても店員さんが優しい。"日本?大好きだよ!"と英語の発音と瞳のきれいなお兄さんがお会計をしてくれた。

そして、世界の美しい書店の一つへ。"Livraria Lello"夢って叶うんだな。

何ヶ月か前に立教の図書館で、"世界の美しい本屋"という写真集に魅了されてから半年。強い直感で行きたいと感じて決めたこの旅行でこうやって運ばれるようにして来ることができた。

嬉しかった。こうやって、願ったことが、無理やりたぐり寄せなくても叶うこともあるんだなって。ハリーポッターの著者ローリングが、インスピレーションを得たポルト。ローリングが二年間英語教師として滞在していたポルト。ハリッポーターの世界。

本が好き。幸せだった。とにかく。これからも本がある、素敵な空間と出会えますように。

それから私たちは、世界で一番美しいマクドナルドや、マジェスティックカフェ、有名な観光名所をいくつか回った。

行くところをざっくりきめて、目に止まったお店や風景に足を止めて立ち寄った。"あ!あそこ素敵じゃない!?行ってみよう!入ってみよう!"そんな具合に。

旅も、そして人生も生真面目になりすぎないスタンスが好き。行く場所、目標はざっくりとだけ決めてあとは流れに身を任せたり、好奇心が赴くままに生きる。そこらじゅうに転がっている楽しい、そして貴重な発見を見逃さない為にも。スケジュールをこなすだけにエネルギーを使うより、その時の感情もきちんと大切にしていきたい。ワクワクを絶やさずに、そして軽やかに笑っていきたい。

流れるジャズに惹かれて入ったお土産やさん。友人が幼少期に聞いていた曲が流れていた。"あ、この曲。!"と隣で、子供のようにはしゃぐ友人は可愛かった。旅は、日常生活では見えない人間の価値観、人生観がにじむ。そして、見える。

ドロゥ川を渡ることにしたんだけれど、風。雨が強い!傘もさすこともできないので仕方なくマフラーをかぶる。こういうスタイルは、"ほっかぶり・ババア"って言うんだよと友人に、今後使うことのないであろう日本語を教える。

オランダ出身のカップルに写真をお願いされ、しばらくおしゃべりしたのが楽しかった。"風強すぎるけれど、めげずに橋を渡ろう!Enjoy!"と励ましあった。一人旅の女性にも写真をお願いされた。あら、可愛いわ。

無事に橋を渡りきった。髪の毛が悲惨。そして顔は雨で十分すぎるくらいに保湿されていた。(笑)こんな悪天候でも捉え方次第で、見え方は変わる。"ヨーロッパの雨は、ロマンチックだよ"と友人が言った。

ゴンドラに乗って、魔女の宅急便のキキの気分になる。

夜にポルトガル伝統楽器のパドゥのコンサートを予約してくれていたのでカレムに向かった。どうやら、コンサートには、工場見学ツアーも含まれているようだった。英語のツアーに参加した。

ポルトの好きなところは古いものと、新しいテクノロジーがセンス良く共存しているところ。旧市街の建物も、中にはいるとモダンで。そんなさじ加減が私は大好き。

このツアーでも、ワインの醸造過程が壁にプロジェクションマッピングで映し出された。

"私たちが昨日飲んだポートワインがなぜ、他のワインに比べて甘くて濃いのか?""なぜ、ポルトはポートワインが有名なのか?"
歴史、醸造過程、美味しいワインの飲み方の説明を聞いた。


ツアーの最後のコンサート。
漆黒のドレスに、潤った白い肌の女性の歌声が、パドゥの音色と絡む。テーブルには塩味のシンプルなクラッカーと、赤と白のワイン。ツアーで白は食前、赤は食後にデザートをいただくように楽しむと教えてもらった。

魔法のような時間だった。美しい音楽に酔った。美味しいワインが体の中に流れて外界を忘れるような。

このコンサートにあまりにも感動した二人は、カレムを出た後しばらく話さなかった。余韻を感じてボーッとしていた。

私は割とどんな状況でも楽しさを見出せるタイプだと思っていたけれど、ポルトは間違いなく"手放しの幸せ、喜び"を教えてくれた場所だった。自分の心をプラスにコントロールしなくてもいい。自分の今までの幸せのレベルが崩壊して、清々しい気分だ。

一旦それぞれの部屋に戻り、ホステルの共有スペースで再集合した。パドゥコンサートで更に虜になった二人は、ホステルで余韻に浸りながらポートワインを飲むことにしたのだ。

続く

Minami

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