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【ドラマ感想】やさしい人たち

「3話だ3話だ」とソワソワしていた。
いつもドラマは録画して翌日以降に観るスタイルなのだが、
今回はリアルタイムで見ようかと思った。
が、睡魔に勝てず寝てしまった。
朝から号泣。
号泣するよ、そりゃ。
夜、号泣するか、朝、号泣するか。どちらが健全か。
画面見ながら顔にティッシュを押し当てている姿。
恐怖映像である。

3話は湊斗くん目線で始まった回。
よくあるパターンとしては、
元彼が出てきたら、俺だ俺だ俺だけを見ろーーーーー!!!
何ー!?あいつと会ってたのか、許せねー!と
主張して結果、嫌がられる、振られる。
ところが、どうだ、この湊斗くん。
紬を気遣い、想を気遣う。
果ては部屋に迷い込んだてんとう虫を気遣う。
こ、こ、これが草食系男子ってやつ?
今時男子はこんなに優しいのか?
ココアとコーヒーを用意してさらに
コンポタまで用意してやるのがイマドキ男子なのか?
うちの息子、そんなんできるかな?
私なら、「うっせー何本用意させんねん!あるもん飲まんかい!」と
缶ごと投げつけられてしまいそうだ。

ちなみに私は想が、紬の話をききながら(見つめながら)
少し俯き加減に、微笑む、もしくはハニカムように
その優しさを滲ませながら笑う顔がすごーく好きなのだが、
そんな想を相手に、紬よ
「今は湊斗が好き。佐倉くんのことは好きじゃない」なんて
言わないでーーーー!!!!と画面に向かって叫びたかった。
でも、そうなのだ。
それが、筋ってものなのだ。
「今は、湊斗が好き」という言葉は
想に言ってこそ、重みがあり、意味がある。
湊斗に言っても仕方ないのだ。
湊斗とは、想と別れたから付き合ったのではない。
想がいなくなったことを慰めてもらったから付き合ったのではない。
仕事で辛い思いをしていた彼女を慰め、支え癒してくれた、
二人だけで共有した時間があるのだ。
彼女はそう、筋を通しているのだ。


でも…でも…想の切なそうな顔を見たら
心臓をぐりぐりぐり〜っっっと掴まれてしまった私。
しかも、その言葉を聞いた後に、『湊斗って呼んでるんだね』と想が言う。
きっと彼はもう聴こえなくなってしまうかもしれない耳に自分を『想』と呼ぶ、
自分の名前を呼ぶ紬の声を焼き付けたに違いない。
何度も何度も反芻したに違いない。
彼女を泣かせたくない、ともう会わないと決めた想。
母親にもまず「ごめんね」と謝ってしまう想。
耳が聴こえなくなるのは想なのに、
母親の気持ちを考えてしまう想。
そんなに優しい彼が『湊斗って呼んでるんだね』と言ったことに
彼の気持ちが見える気がする。

想の背中に向かって、泣きながら話しかける湊斗。
聞こえないふりをした高校生のシーンを挟むあたり、
脚本の妙が効いている。
ごうごう涙が溢れて止まらない。
ただやきもちを焼くだけならどんなに良かったか。
湊斗にとって、想は紬の元彼である前に、自分の親友だったのだ。
どうして想が連絡を絶ったのか、お前らしいとわかるぐらいに
想のことを理解している。それでも、どうして自分に言ってくれなかったのか…
どうして…
病気のことを言ってくれない。
何もできない自分も悲しいが、自分が友人にとって頼るに足る存在でない、という
こともまた悲しい。
紬に知らせないのは、恋人の悲しむ顔を見たくないから。
じゃあ、自分は?
友人との距離感。自分があいつにとってどういう存在か。
自分にとってどういう存在か。
仕方ないとわかっていても、悔しくて悔しくて涙が出る。
昔みたいに戻りたい。想の背中に声をかけ、想から返事がない、という
事実に打ちのめされる。
友達の耳が聴こえない、という現実と、自分に知らされなかったという事実。


こんなに全方位優しくてやっていけるのか君たち!
もっと、自分のことを、自分のことだけを考えてもいいんだよ。
身勝手になっていいんだよ。
相手の痛みを自分のことのように思って、
同じように痛まないで。

今回の湊斗回で彼らみんなが愛おしくて、
これからどんな形になれども
彼ら全員がどうか、幸せであれ、と願わずにいられない。

二人だけを、紬と想、二人の幸せだけを願えばいいと思っていた。
けれど、出てくる登場人物たちがこんなふうにみんな優しくて、
それぞれに愛しくて、みんなの幸せを願いたくなる。

どうしたらいいのか、今後。
私は想の笑顔が好きだ。好きなんだけど…

今、私は「4話はまだか4話はまだか…」と指折り数えている。

「名前呼んで、振り返って欲しかっただけなのに」


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