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【読書記録】リボルバー/原田マハ


読んでもないのに、キャンペーンでこちらをいただき、
読みたい読みたいと思いながら月日が経ってしまった。
やっと読了。


どうして、こんなにもゴッホに惹かれるんだろう。

とは言ってもゴッホに詳しい訳じゃない。
美術史に疎く、名前と代表作は知っていてもその人となりを、知ることはなかった。
美術館に足を運んでも人集りで、作品に近づくことはできず、
その解説を読むこともできない。
かと言って帰ってから美術史を読み漁るほどの勉強熱心でもなくて、
作家の人生に触れてこなかった私。
なぜかゴッホの絵には惹かれて、
ゴッホ展に足を運んだこともあるが、
大体そんなことの繰り返し。
美術館に行っても事前勉強をして行かないものだから、
そこにある名画を素通りし、後で知ったり…
そんな私がゴッホを目にする機会といえば…
ゴッホの絵が好きな人が多いのだろう。
多くの他の創作物でよく、ゴッホの絵を目にしたりする。
例えば、コナン映画。ゴッホ✖️怪盗キッドの「業火の向日葵」

「はちみつとクローバー」にも、「星月夜」について話すシーンがあったり。

そこで、どんな絵だろう、と思って見てみれば、
やはり心揺さぶられるものばかりで。


ファンゴッホ美術館より


小学生の時初めて目にした、教科書の「タンギー爺さん」に始まり、
目にする絵の色鮮やかな色彩から、温かな人柄を思い描いていた。

ところがどっこい、
原田マハさんの「たゆたえども沈まず」を読み、
温かな人柄とは真逆の神経質で繊細、気難しい人柄だったとは…。
絵ばかり見て、その人生を知らなかったわたしには、
原田マハさんの作品は大変勉強になる。
タンギー爺さんがどんな人だったかも20年越しに初めて知ることができた。
けれど、「たゆたえども沈まず」も「リボルバー」も
ゴッホそのものを描いた作品ではない。
ゴッホの周辺を描いている。
そのわけはこちらのインタビューに書いてあった。

「リボルバー」の巻末にはたくさんの参考文献が載せられている。
これらゴッホの物語をもっと深く読んでみたい気持ちと、
マハさんの創作を通して、少しずつ知りたい気持ちとが入り混じる。
マハさんの物語を通して、ここが創作、これは事実、と確認していく作業もまた面白い。
マハさんのミステリー然り、自分自身もまた謎解きをしているような気分になってみたり…。

ゴッホが死ぬこととなったリボルバーの謎。
この物語ではその鍵をゴーギャンが握っている。
ゴーギャン。
名前と代表作は知っていても、その人生を知らなかった画家がまた一人出てきた。
ゴーギャン。

タヒチの女

これまた南国の陽気なおっさんかと思っていた。(失礼すぎる)

史実に詳しい人からすれば、私のこんな感想ももしかすると、
こうしたフィクションも「なーに言ってんだ」と鼻で笑われるようなことかもしれない。
昔、お付き合いしていた人に、当時読んで感激した小説を薦めたら
「所詮、フィクションでしょ」と鼻で笑われて傷ついたことがある。
物語が好きな私は、当時好きだった人に自分の好きなものを否定されて寂しくなった。
けれど、物語好きは終わらなかった。
そして、今、やっぱり思う。
フィクションにはフィクションの良さがあり、フィクションのその「無限の可能性」が好きなのだ。
あり得ない〜と言うようなことも、「もしかしたら?」と思わせる説得力、そして可能性、それを考えて夢を膨らませる自分、それをきっかけに世界が広がるような気持ち、それで十分。

「ゴッホを撃ち抜いたかもしれない」リボルバーから始まった一つの物語。

リボルバーが埋まっていたかもしれない場所。
ゴッホが最後に見た景色。
ゴッホとゴーギャンが過ごした場所。

またひとつ行ってみたい場所が増えた。


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