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めっちゃおもろい商店会ここからスタート!―東寺道親交会、発足の想いー

京都駅から南に徒歩5分、西洞院通から竹田街道までをつなぐ東寺道。

昭和初期から商店が立ち並び、かつてはこの辺りに東寺道商栄会という商店街があった時期もありました。しかし、大型スーパーの進出や少子高齢化の進展などにより、その賑わいが失われつつありました。そうした中、2022年2月に飲食店や洋品店など16店舗が新たな商店団体「東寺道親交会」を立ち上げました。
 
親交会の会長には2019年にスペイン料理店を出店した西山さんが、副会長には3代にわたり酒店を営む齋藤さんが就任し、3月には立ち上げを記念したイベント「東寺道ぷちぷちマルシェ」を開催。西山さんのお店が入るビルを会場に、飲食提供ブースや野菜販売のほか、ビル屋上では子どもたちが「未来の東寺道」をテーマに絵を描くワークショップなどを開催しました。
今回は西山さん、斎藤さんのお二人にお話をうかがいます。

Q:どのような経緯で設立されたのですか?

西山―僕自身の住まいはここではないのですが、父親の実家があり幼い頃はこの辺りをよく歩いていたのでこの地域が僕のルーツだと思っています。数年前に出店してから、住んでいる方や近隣の方がこの界隈の魅力に気づいていないのではないかと感じていました。そこで個人的に魅力を発信したいと思って動いていたところへ、地域の人から齋藤さんにつないでいただきました。かつてあった商店街の賑わいを復活させたいという話から、飲食店主らが増えた現在のまちに合った新しい商店街を作ろうという方向へまとまっていきました。
お店を始めた頃は、京都駅との距離も近く、元々多くの人で賑わっていたこのエリアが静かになっていることに違和感がありましたが、今は逆にこの不思議な空間に魅力を感じています。

齋藤―私はここで生まれ育ちましたが、若い頃はどちらかというと早くこのまちを出たかったんです。でも実家の商売を継いで長年携わり、また「東寺道親交会」の発足に自分も核として加わらせてもらううちに、まちのすでにある良さを活かしていきたいという熱意を持った方がたくさんいらっしゃるんだなと教えてもらいました。すごくいい出会いをいただいたなっていうのは感じていますね。

Q:商店街の理想として持たれているものはどのようなものでしょうか?

齋藤―まちをよりよくしたい想いはありますが、ものすごくオシャレにしたいというわけではないんですよ。このゆったりした感覚がすごく気に入っているので、気を張らずに歩ける、ほっこりできる空間をつくりたいなって思っていますね。

西山―商店街の活動は人とのつながりを強くしていくと思うので、ここに関わる人たちのコミュニティが生まれて、魅力に気づいた人が「一緒に何かしようよ」というように、時間はかかっても関わってくれる人がどんどん増えてほしいと思っています。

齋藤―いいまちづくりは、住んでいる人とコミュニケーションを深めて仲良くなるところからですね。

【「東寺道ぷちぷちマルシェ」会場となったアルプス9ビル前 イベント当日の様子】


Q:「いいまち」とはどんなまちでしょうか?

齋藤―近所に知らない人がいないような環境で育ってきたので、地域の人たちのコミュニケーションが取れていて、何かあったら助け合えるというのが「いいまち」なのかなって思います。

西山―商店会は商業者の集まりですが、例えばお店に訪れる人の中にはアート活動やボランティアをする方、地域のお祭りを主催されている方などたくさんいらっしゃいます。また南区には劇場やギャラリーなど魅力的な文化施設もあり、それらを東寺道親交会が交流の場となって、互いの活動を応援し協力し合えると「いいまち」になるんじゃないかなという理想は持っています。みんなでお酒飲んでごはん食べてというような。これからの商店街がそういう役割を持ったらすごく面白いですよね。

Q:なるほど。そうした理想を実現するために、どういう人を巻き込んでいきたいですか?

齋藤―今一番期待しているのは、2023年に近くに京都市立芸術大学が移転してくるということです。学生さんの若い力というか行動力に期待していますね。

西山―若い人が増えるってなかなかないことです。どこでも高齢化でお年寄りが多いので、若者と高齢者のつなぎ役みたいなものを商店会が担うこともできるんじゃないかと思います。

Q:立ち上げから活動の中で大変だったことや喜びを感じたことはありますか?

西山―コロナ禍だったので何かをしようと思っても、最初のとっかかりを作ることが難しいというのはありました。何のためにやるのかというところに立ち返ることも何度もありました。活動資金も全くゼロからだったので何ができるの?…と。

齋藤―私は朝から晩まで商店街にいて、昔からのつながりもあるので、皆さん私たちの活動に対してアドバイスや意見を言ってくださるんですよね。私はそういうご意見を全て受け止めてしまうタイプでいろいろ聞いたら考え込んでしまうことがあります。「うまく聞き流すようにした方がいいよ」と言われることもあるくらいです。

西山―そういう意味では、新しくこのまちで商売を始めた僕が会長なのがよかったのかなと思います。まだお付き合いが浅いので、何か意見があっても地元の皆さんもストレートにはおっしゃらずワンクッション置いてもらえますよね。逆に僕らから発信するときは、齋藤さんがうまく間に入ってみなさんに伝えてくださる感じです。例えば僕みたいな新しくお店を始めた人だけでやっていたら、元々からおられる方とすごく壁ができていたと思うんですよね。

齋藤―喜びを感じたところでは、初めて開催した2022年3月のイベント「東寺道ぷちぷちマルシェ」にたくさんの人が来てくれたことですね。子どもも大人も楽しめるイベントをコンセプトにしたのですが、地域内外から老若男女が何百人も来てくれました。みんな待ってはったんやなっていうのを感じました。

西山―地域の子どもが手伝ってくれたり、うちのお店のアルバイトの卒業生がボランティアで来てくれたり、いろんな方の協力があって開催できたと感じました。


【アルプス9ビル屋上 当日の様子】
【ビル屋上で開催された、子どもたちが「未来の東寺道」をテーマに絵を描くワークショップの様子】

Q:今後は商店街としてどういった活動をしていきたいですか?

齋藤―まずは、地域の方に喜んでもらいたいです。イベントを通して普段話さなかった方同士が話したり、子どもたちが遊んでいる姿を見てお年寄りがほっこりしたりできるような、人と人とがつながる空間を目指しています。

西山―いずれは近隣の地域と連携して、同時多発的に何かしらしてみたいですね。

齋藤―地元をがんばって盛り上げていくことで、その後近隣の団体さんとも溶け合うところが出てくるかもしれないと思いますね。

西山―ぼくたちが東寺道で活躍することで、この辺りを「めっちゃおもろい所やねんで」と人が集まってくれるようにしたいですね。活動の最終目的はこの地域がいい場所やってみんなが再認識してくれることやと思うんです。

齋藤―過去10年ぐらいで数多くのホテルができてすっかり風景が変わりましたが、高い場所からまちを見下ろしたら家がぎゅーって詰まっているんですよ。駅があってホテルがいっぱい建っている中にも人って生活しているんですよね。その人たちが笑って楽しめる、みんなが楽しめる、自慢できるまちっていうものの核に商店街がなりたいなと思います。

今後のイベント情報

2022年10月10日 「東寺道マルシェ」開催決定!

 3つの会場を謎解きを楽しみながら巡るマルシェです。商店会のお店と、外部からもさまざまな方々が協力して開催します。
「東寺道ぷちぷちマルシェ」と同じく東寺道沿いのアルプス9ビル前には飲食提供ブースを、障がい福祉サービス事業所「若杉」の敷地内にある「下殿田ガーデン」を子どもさんが遊べるスペースに、また商店会の立ち上げにも協力してきた京都信用金庫九条支店の駐車場ではちょっとした軽食ができるようなスペースを設けます。子どもも大人も楽しめます!

イベントの詳細は、東寺道マルシェインスタグラム(@tojimichi_marche)をご確認ください。

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