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恋愛ユニバース 104-01

「へぇ、なるほど。君は宇宙人なんだ。
証拠を見せてよ」
「証拠。あなたは、自分が信じるために、他人から貰う何かが必要なの?」
「君が宇宙人だという事を信じてしまったら。僕は、数年後一文無しになっていると思うよ。」
「あなたが、信じたいか、信じたくない。どっちなの?」
「そんな事わからないさ。だって信じるためには、証拠だったり、その類のものが必要だといわれて生きてきたんだから」
「あなたは今日、宇宙人と一夜を共にする。もしくは、自称宇宙人の頭の変な女の子と一夜を共にするの。あなたは、どちらが良い?」
「それは、もちろん前者さ」
「前者でいいじゃない。そういう考え方って素敵じゃない?」

僕は、宇宙人と一夜を共にした。
どうって事は無い、古びたラブホテルで。
宇宙人は、普通の女の子と同じように避妊に気をつかい。普通の女の子と同じように僕の上に被さって。
事が終えると、イビキをたてて眠った。

僕は君を抱いた。宇宙人の君を。

僕の方が早く目を覚ました。
多分、まだ太陽は地面の中にいた。

別に宇宙に行けるわけでもなかったし。
地球人を抱く事とさほど変わる事は無かったよ。
不思議と冷静に朝を迎え、僕は彼女にそう告げる。

彼女の欠伸とか、そんな時間を待つ。

「地球人は、挨拶をしないのね。
挨拶しないまま、昨夜の感想?
誰も個々に来たがらないはずだわ。
せっかく良い文化だと思ったのに。

あなた達は、身体をもって、今ここにいるの。
だから、それを楽しみ、分かち合う。

分かち合ったからこそ、こんな良い朝があるの。
私たちは日々分かち合う儀式をし続けなくてはいけないの。

挨拶なんて、儀式の象徴よ」
彼女は僕に、おはようと口づけをした。