“Heart of Darkness” by Joseph Conrad (51)

“Heart of Darkness” by Joseph Conrad (51)
https://www.gutenberg.org/files/219/219-h/219-h.htm
俺は巻き取り始めた鎖を再度出す様に命じた。
それが弱いガタガタいう音を止める前に、とても大きな叫びが、無限の荒廃のように、不透明な空気の中でゆっくりと立ち上がって行った。
それがやんだ。
野蛮な不協和音で変調された不平不満の喧騒が俺たちの耳を満たした。
その混じりけの無い唐突さは俺の帽子の中の髪の毛をかき混ぜた。
それが他の人々にどの様な印象を与えたのかは俺にはわからない。
俺にとっては、それは霧そのものが叫んだように思われた、急に、明らかに全方向から一度に、この騒々しく悲しげな叫び声は起こったのだった。
それはほとんど耐えられないくらいの過度の叫びの急激な騒々しさの中で最高潮に達した。
そしてそれはすぐに止まり、俺たちは様々な愚かな姿勢で止まり、頑なにほとんど同じくらい過剰な沈黙を聞いていた。
「神様、その意味は何ですか?」と俺の横にいた巡礼者がつぶやいた。
巡礼者は、小さな太った男で、胡麻塩頭で赤いひげを生やし、サイドスプリング側面に柔軟性を持たせたブーツをはき、靴下にパジャマの下をたくし込んでいた。
他の二人は数分の間口を開けたままでいて、それから小さな船室に走り込み、自制心を失ってウインチェスター銃を、弾を発射できる状態で持って走り出してきた。
俺たちが見る事ができたのは俺たちが乗っている蒸気船だけで、その輪郭は溶けかかったようにぼやけていて、俺たちの周りの2フィートほどの広さの水の霧の立ち込めた一片、それが全てだった。
我々の目と耳に関する限りそれ以外の世界はどこにもなかった。
どこにもない、無くなって、消えてしまった。
:後ろの影やささやき以外は掃き捨てられていた。」

 「俺は前の方に行って、必要ならすぐに蒸気船を動かせるように鎖を引き上げて錨をあげるように命じた。
「彼らは襲ってくるだろうか?」畏怖の念を起こした声ひそひそと言った。
「俺たちはみんなこの霧の中で殺されるだろう。」と、もう一人がつぶやいた。
その顔は緊張で引きつり、手は少し震え、目は瞬きする事も忘れていた。
白人と我々の乗組員の黒人たちの表情の対比は大変興味をそそるものだった。
黒人たちは、彼らの家はわずか800マイルしか離れていないのに、この河に関しては我々よりずっとよく知らないのだ。
白人は、そのような常軌を逸した騒ぎにより痛々しいほど衝撃を受けていたことは別にしても、ひどく不安ではあったが。
その他の人々は警戒し、当然興味深い表情をしていた。

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