「春にして君を離れ」アガサ・クリスティ 第4章

「春にして君を離れ」アガサ・クリスティ 第4章 
“Absent in the Spring” by Agatha Christie
https://www.pdfdrive.com/absent-in-the-spring-e199881914.html
Chapter 4
ジョーンが不愉快な思い出を振り払おうと、急ぎ足でレストハウスに入って来るのを見て、現地人の従業員は「奥様、ここでは時間がたっぷりあるのに、なぜそんなに急いでおられるのですか?」と呼びかける。
従業員、レストハウス、外で飼われているニワトリ、囲いの有刺鉄線すべてが癇に障る。
寝室に入って、「パワーハウス」を読み始める。
昼食までに半分読み終わる。
昼食はそれほど食が進まなかった。
寝室に入り、目を閉じたが、朝日をいっぱい浴びたにもかかわらず、眠れなかったのでアスピリンを3錠飲んだが眠れないので、「パワーハウス」を読み、数ページ残したところで眠りに就いた。
夢を見た。
ロドニーとテニスをしていた。
ジョーンがサーブしようとすると、ロドニーはジョーンとではなくランドルフとペアを組んでいたのだ。
サーブを2回失敗して、ロドニーを見ると、ロドニーもランドルフもいなくなっていて、辺りは暗くなっていて、彼女は一人残されていた。
目が覚めて「私は一人だわ」と大声で言った。
枕元に現地人の従業員がやってきて「奥様、お呼びですか?」。
「お茶を頂けるかしら?」
「まだ朝の3時ですが?」
ベッドから起き上がって、鏡を見て、「病気になり始めているのかしら、お日様に当たりすぎ?」
お茶2杯とビスケットを食べ、パワーハウスを読み終えた。
従業員がお茶を下げに来たとき、「あなたはここで何をしているの?」と聞いた。
文明人は何もしない、ただ待っている、生活などできやしないのだ。
ランドルフの事が頭から離れない。
ガーネット老夫人に花を届けていると、ロドニーと女性の声が聞こえてきた。
ランドルフだ、確かめなければ、と追いかけると、シャーストン夫人だった。
寄り添って座っているわけではなく、かなり離れて座っている。
たまたま散歩中のシャーストン夫人をロドニーが追い越し際に声をかけて、たまたま一緒にアシェルダウン峠を登って、登ってきた方向の景色を眺めていただけだ。
というのも、当時、シャーストン夫人のご主人は銀行の横領事件で服役中だったのだ。
そしてロドニーはその事件の弁護を担当していた。
世間の評価は、ご主人が悪いだけで無一文で二人の幼子を残されたシャーストン夫人に同情するものだった。
むしろ、シャーストン夫人の断固とした快活さは驚きの的だった。
ジョーンが「彼女は無神経だと思うわ」とロドニーに言うと、夫は「彼女は僕が今までにあったどの人より勇気がある人だよ」と言った。
彼女が「勇気が全てかしら?」というと、ロドニーは「それ以外何があるんだい」と言って、事務所に行ってしまった。
シャーストン夫人はしばらく市場向け野菜栽培業者のところで働き、叔母さんの援助で暮らしていた。
結局、シャールトンが刑務所からでて、子供たちと一緒に野菜を運ぶことで生計を立てる事になった。
シャールトン夫人(レズリー)は、子育てに関しては間違っていたとジョーンは思っている。
叔母さんが、子供たちに叔母さんの姓を名乗らせて面倒を見ると言ったのに、レズリーはそれを断った。
ジョーンはその頃のシャールトン夫人とロドニーが一緒のところを見たことを思い出したのだった。
ロドニーとレズリーに何かあるんじゃないかと疑ったやましさから、ジョーンは木影から覗いただけで、話しかけずその場を立ち去ったのだ。
その後、そのことは、ロドニーに言った事も無い。
ロドニーの事を考えているのに、嫌な事ばかり思い出すわ、太陽の光が強すぎるせいだわ。

⇒  https://note.com/minamihamaryu/n/n227c0e91cc93



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