“Writing Box” by Milorad Pavic (86)

“Writing Box” by Milorad Pavic (86)
https://jp1lib.org/book/16698678/7e0b66
見ることは彼の苦痛になっているようだった。
私は彼を嗅いだ。
彼は何の匂いもしなかった。
彼の顔、髪、シャツ、彼の物は何も匂いが無かった。
彼は汗の臭いもしなかった;彼は男の匂いも女の匂いもしなかった・・・。

 「いいわ、私のダーリン、」と私は彼に言った、「今私たちはこの話の中で誰が誰だかわかったわ。
そして、今度はあなたが3人分のベッドから姿を消す番よ、赤ちゃんが生まれるんだから......」

 今こそ私はやるべきことが分かった。
私は彼の全ての贈り物をティモテジに返し、ディルの入ったビールのスープを作ってあげて、永遠に彼の元を去った。
私はブラッチェンの家から何も持ち出さなかった。
私の船長の筆箱にため込んだ小さなアクセサリーやお土産さえも。

 こうして私の「草深い坂道」は終わりました。
同じ日の午後、一人でパリの私の家に帰りました。

          一枚の写真

 もしあなたが筆箱の外側の引き出しを完全に引き出せば、あなたは自分の手を箱の中に入れて、そこに一片の厚紙を感じることができるでしょう。
陽の光の中にとり出した時、それがしっかりした表面に張り付けられ、ほぼ2つにバラバアらになりそうな、半分に折られた大きな写真だと分かります。
長い金ぴかのドレスを着た若い女性と、彼女の後ろから覗いている子供が写っている。
写真には少し長いメモと次の署名:τιμοτηεοζ.(ティモテ)が書いてある。

 前述のメモは写真の裏にある。
サインをした人が書きたかった全部を書けるほど十分な空白が無かったため、彼は残りの部分を後ろの余白に反時計回りに書き込んでいた。:

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