“Girl With a Pearl Earring” by Tracy Chevalier (188)

“Girl With a Pearl Earring” by Tracy Chevalier (188)
彼がコンサートの絵のために使っていたテーブルがそこに設置されていたが、彼は楽器をきれいに取り払っていた。
彼は私に一枚の手紙を手渡した。
「それを読みなさい、」と、彼が言った。

私は折りたたまれている便箋を開いて、私は、彼が私が単に見慣れない手書きを読んでいるふりをしていると、気付くのを心配しながら、顔をその上に持って行った。

紙の上には何も書かれていなかった。

私は眼を上げて彼にその事を言おうとしたが、止めた。
彼にとってはしばしば何も言わない方がいいことがあるのだ。
私はもう一度、手紙の上に顔を持って行った。

「それの代わりにこれをやってみなさい、」と、彼は一冊の本を手渡して、提案した。
それはすり切れた皮で閉じられていて、背の部分は何か所か壊れていた。
私は無作為にそれを開き、ページに集中した。
私は一言も理解できなかった。

彼は私を本を持ったまま座らせて、それからそれを持ったまま彼を見て立たせた。
彼は本を取り上げ、|白目<ピューター>の蓋の付いた白い水差しを渡し、グラスにワインを注ぐふりをさせた。
彼は立って窓の外だけを見るように求めた。
彼は、その間ずっと当惑しているようだった、まるで誰かが彼に物語を語り掛け、その結末が思い出せないかのように。

「それは服だ、」と、彼は呟いた。
「それが問題だ。」

私にはわかった。
彼は私に貴婦人のするような格好をさせたいのだが、私はメイドの服を着ている。
私は黄色の上掛けと黄色と黒の胴着との事を考えて、彼がどれを私に着るように頼むのかしらと思った。
その考えに興奮したが、その一方、私は居心地が悪かった。
それは単に私がカタリーナの服を着ている事を彼女に隠すことは不可能だと言う事ではないだろう。

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