“Stories” by Doris Lessing (11)

“Stories” by Doris Lessing (11)
https://jp1lib.org/book/3902043/21ed13
1, “The Habit of Loving “
彼は彼女を起こすといけないと思い、敢えてベッドから出なかった。
彼は彼の手足が彼の今までの生活習慣を思い出して寝ているうちに無意識に彼女を探すのを恐れて、眠りに落ちる事が怖かった。
朝になって、彼女は微笑みながら目を覚まし、彼は彼の腕を彼女に回したが彼女は彼にやさしくそっとキスをしてベッドから跳び起きた。
 その日、彼女は姉に会いに行かなければならないと言った。
彼女は次の週は頻繁に姉に会って、ジョージにもっと友達を作るべきだと提案し続けた。
ジョージはなぜ姉さんはここに、アパートに、君に会いに来ないんだと尋ねると、ある日の午後、ボビーのお姉さんはお茶にやって来た。
ジョージは結婚式で彼女にちょっと会っていたが、彼女の事は嫌いだった。
しかし今や、初めて、結婚そのものに嫌悪感を抱いたのだった。
ボビーのお姉さんはひどいものだった。
田舎出のありふれた中年女。
彼女は尖った暗い顔をした女性で、アパートの隅々までじろじろ覗き、家具の値踏みをし、痩せた欲張りな鼻を片側に向けた。
彼女は男っぽい青いスーツを着て、いかめしい黒い帽子をかぶり、細い足を一方に傾けて、2時間もティーカップの前にお行儀よく座っていて、彼女の痩せた鼻は彼女の妹とジョージについての無言の風刺的な会話を続けているようだった。
ボビーは、ゲストがいつもそこにいるときのように、クールで礼儀正しく、人生にひどくうんざりした様子だったが、ジョージはこれは単に自分がいるからだと確信していた。
姉がいなくなった時、ジョージが不平を言うと、ボビーは笑いながら、ジョージがローザを嫌いになる事は勿論知っていた、彼女はひどいわ、でもじゃあ、彼を呼んだら、って言ったのは誰なの?と言った。
それで、ローザはもう来なかった。
ボビーは彼女に会う為に映画やショッピングに出かけた。
その間、ジョージは一人で座って不安げにボビーの事を考えたり、彼の古い友達を訪ねたりした。
彼らがノルマンディーから帰った数か月後、誰かがジョージに多分彼は病気なんだと助言した。
これにはジョージにも考えさせるものがあり、病気とは程遠くはない、と気付いた。
とういのは、彼は眠れなかった。
ボビーの陽気で愛情に満ちた服従の後で、彼は毎晩ボビーの横で寝た。
彼は枕の上の彼女の頬の柔らかな曲線と、長くて黒いまつ毛が近くに平らに横たわっているのを見た。
彼の人生でその子供らしい頬、まつ毛の影ほど深く彼の心を動かしたものは何もなかった。
片方の頬の小さな皺は彼にとって愛情のサインのように思われた。
そして彼女の額を横切って落ちる黒い光沢のある髪の房は彼の喉を涙で満たした。
彼の夜は優しさに包まれた長い寝ないで過ごす夜だった。

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