“Penguin Lost” by Andrey Kurkov (94)

“Penguin Lost” by Andrey Kurkov (94)
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お正月まであと4日

彼の汚い1ドル札の束をフリブナに両替し、ここではレートは不安定だが、当然ながら、わずか230フリブナにしかならないことに気付いて、彼は銀行のクレジットカードを取りにアパートに戻った。

両替機から要求した1000フリブナがちゃんと出てきたのを見て、誰かに盗まれのではないかとちょっとドキドキした。
しかし、そっと降りしきる雪の中には、男が魚料理店の外で、バールで氷を割っている以外は、誰もいなかった。

ソニヤとニーナとリョーシャと、それから多分スヴェトラーナに、プレセントを買おう。
セントラル・ユニバーサル・ストアに入るころには彼の気分は、高揚していた。

まず、おもちゃ売り場だ。
ソニヤは明らかにバービー人形の年頃は過ぎているけど次の年頃には入っていないよな。
彼はアパートでどんなおもちゃを見たか思い出そうとした。
たしかに人形は無かった。
ああ、指をかまれた! 病院、歯医者・・・

ドリトル先生セットは買う気を起こさせなかった。
気に入ったのは、棚の一番上に有る95フリブナの大きなビロードのペンギンのぬいぐるみだった。
さらに棚を回っていると、プラスチックバッグに注射器とピンセットと聴診器と浣腸の器具の入ったドクターキットが目に留まった。
お金を払った後、ペンギンにそのバッグを取りつけようとしたが上手くいかなかった。

ニーナには大きいけどそんなに高くないトルコ製の化粧箱を買った。

化粧品売り場の横の贈答品売り場には雪の乙女スノー・メーデンに扮した背の高い女の子がいた。

「いらっしゃい、殿方、あなたの愛する人への贈り物ですよ!」

今のところ彼にはそんな女性はいなかったが、彼は上品なコーヒーカップとソーサーを展示している小さなテーブルに引き寄せられた。

「さあ、恥ずかしがらないで、コ―ヒー滓が何を予言しているか読んでみましょう」

それまでには、男たちが集まって来ていた。

「今から実演します」

コーヒーポットからスプーン一杯のコーヒーかすを入れたカップを皿にひっくり返し、彼がモスクワで見たのと全く同じエロティックなイメージが出てくるまで少し休んだ。

「6個のカップと皿のセットですよ、それぞれ特別の驚きがあります。
愛とお金と幸せがどうなるかを見てください。」

彼は、愛と幸せは別の物なんだろうか、と思って、別物だと思う事にした。

「単品でも買えますか?」

「勿論、単品だとカップと皿で7フリブナ、セットだと42フリブナ、どれがいいですか?」

「愛を」

彼女が贈り物を包むとき、彼女の指は驚くほどほっそりと長かった。

彼女は「良いお正月を!」と言いながら包みを渡した。

リョーシャに200フリブナで買ったバイエルン・ビールジョッキは正にぴったりだと思ったが、飲酒との関係を考えると躊躇した。
小さな予約用の手帳とカレンダーの付いた茶色の皮の手帳、こっちの方が中立的でよりふさわしい。

最後に、スヴェトラ-ナには何も買わなかった、今のところ彼女を探したくなかった。

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