“Writing Box” by Milorad Pavic (14)

“Writing Box” by Milorad Pavic (14)
https://jp1lib.org/book/16698678/7e0b66

 彼が私たちをシシル通りに降ろした時、私はすぐに貸アパートの業者のところに行った。
「3区で4年間住めるアパートが欲しいのですが、マレ地区です。
部屋が3室あって、静かなところ。
そうね、できれば内庭があれば。2階よりも高くなくて。」

 不動産屋は3つのアパートを提示した。
二つはシルク ディヴェール冬のサーカスの近く、一つはフィーユ・デュ・カルヴェール通りにあった。
「近いですよ、すぐに3か所ともみられますよ。」
「まず、フィーユ・デュ・カルヴェールに行きましょう、」と、私は言った。
「あなたはフィーユ・デュ・カルヴェールって誰だか知ってる?」と、私はエヴァに聞いた。
「いいえ、」
「彼女たちは6から12歳の少女たちなの、2000にんぐらいの処女の集団なの。
彼女たちは船に乗り込み、アラブ人からキリストの墓を解放するためにエルサレム近郊に送られたの。
その船はサラセン人によって捕獲され、サラセン人はほとんどの少女たちをレイプし殺し、残った少女を奴隷として売ったの。
そして何世紀も経って彼女らはパリの大通りと、ヴィエイユ・ デュ・ タンプル旧寺通りから続く通りを手に入れたの。
パリのテンプル騎士団通り、ってとこね・・・
アパートは高層ですか?」と、わたしは業者の方を向いた。
 「いいえ。平屋です。着きましたよ。」
そして私たち3人は螺旋階段を昇って行った。

 「御覧のように前に借りていた人が壁にこんな絵を残しました。
お気になさらないといいのですが。
結局、もし彼が来てそれらを持っていかないのなら私たちで取り外しますが。」
 「気にならないなら、そのままにしておきますが。」


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