“Stories” by Doris Lessing (5)
“Stories” by Doris Lessing (5)
https://jp1lib.org/book/3902043/21ed13
1, “The Habit of Loving “
「でも、私たちは幸せだった、そう私は幸せだった・・・」といって、彼の声は途切れた。
彼の女性について知っている事がひどいものだと気付いたからだ。
というのは、彼がそこに座って、もし言葉を見つけることさえできればそれは正しい言葉で正しい言い方で言えると彼の老練な心は彼に言っていたからだ。
しかし彼の発するものは全て、この希望の無い老犬の声で発せられ、この声ではとても勇敢な救世主然とした若い医者を打ち負かすことはできないだろうと知っていた。
「そして僕はお前の事を考えていたよ。おまえだけが僕のたった一人の女性だと思った事もある。」
この時、彼女は、「ああジョージ、今更めそめそしないで、お願いだから」と言った。
「そう、マイラがいた。しかし、お前が僕を捨てた時、マイラが控えているはずだった、そうじゃないかい?おまえとそれからマイラ、2人の女性がいた。
僕たちが幸せだった時に、なぜおまえが全てを壊してしまったのか僕には理解できない。」
「あなたが私の事を気にかけていなかったからよ、」と彼女はもう一度言った。
「もしあなたが私の事を気にかけていたら、あなたは決してフィリッパ、ジョージア、ジャネットなどの所から家に帰って来ないなんて事は無かったはずだし、」と言い、「もしブライトンやほかの場所で彼女たちと一緒にいる時に、それを私にとってどうでもいい事だと私が思わなかったら・・」と静かに付け加えた。
「でも、僕は君の事を気にかけていたとしても、その事を君に言う事はなかっただろう。」
彼女は信じられないという様子で彼をじっと見つめ、彼女の顔は紅潮していた。
何のために? 怒り? ジョージにはわからなかった。
彼は「僕たちがこの結婚と言う事業やそれに類する事をうまくやりおおせたことは誇らしかったいう事を思い出したよ。」と言った。
「僕たちはそんな良い結婚生活を持ったんだよ、ちょっとした浮気は問題にならないくらいの。
そして僕は人はいつも本当のことを言えるはずだと思っていた。
僕は君にいつも本当のことを言ってきた、そうじゃなかったかい?」
「あなたって本当にロマンティックね、ジョージ、」と彼女は冷たく言った。
彼は立ち上がって彼女の頬に愛情をこめて口づけをして去って行った。
かれは手を後ろに組んで背筋を伸ばし、長い間公園を歩き、
彼は自分の中で心臓がドキドキし痛くなるのを感じた。
門が閉まった時、彼は彼の人生で40年住んだ灯かりの付いた通りを通り過ぎようとしていた。
そして、温かい心地よい親密さの形で、マイラとモリ―が一人の女性であるかのようだったことを思い出していた、彼に寄り添って歩く幸せの形。