“Stories” by Doris Lessing (4)

“Stories” by Doris Lessing (4)
https://jp1lib.org/book/3902043/21ed13
1, “The Habit of Loving “
　ジョージが彼の最初の妻に結婚してくれるように頼んだので、彼女はびっくりして砂糖のトングを落とし皿にひびが入ってしまった。
彼女はマイラに何が起こったのか聞いた。
ジョージは「そう、マイラはここ数年オーストラリアに居て僕の事を忘れてしまったんだ。
どっちにしろ、今は、彼女は僕を望んでいないんだ。」
彼が自分の声がこういうのを聞いた時、自分がみじめに思えて来て、そら恐ろしくなった。
というのは、今までマイラ以外の女性に訴えなければならないことを思いだしたことは　なかったからだった。
　彼の妻は彼を見て、爽やかに「あなたは寂しいのね、ジョージ、そう、私たちはもう若くはないのよ。」
　「私が側にいても、寂しくはないって思わないでしょうね？」
　彼女は彼に背中を向けて何かをするために椅子から立ち上がり、すぐ近いうちに再婚するつもりだと言った。
彼女は彼女よりずっと若い男と結婚しようとしていた。
その相手は病院の進歩的だが少数派に属する医者だった。
彼女の言葉から、彼女がこの結婚を誇りにも思いは時とも思っていて、それが、彼女が彼から顔を隠している理由だという事を理解した。
彼は彼女にお祝いを言い、まだ僕にもチャンスはあるのか、と聞いた。
「結局、私たちはどちらも幸せだったでしょう？わたしはなぜあの結婚がダメになってしまったのか、理由が分からないわ。別れたがっていたのはあなただった。」
「今更古い話をむし返す意味が分からないわ。」と彼女は話を打ち切って、言った。
そして彼の反対側の席に戻った。
彼は、彼女のわざと白くした派手な巻き髪の下のほとんど皺の無いピンクの顔のせいで若く見える彼女の顔を疎ましいと思った。
　「だけど、こう言ってくれるかい？今や何の危害にもならない、そうだろう？
それに私はいつも不思議だった、それについてずっと考えていたし、そうならないかと思っていたんだ。」
彼は再び、自分の惨めな言い訳の声を聞きたくはなかったが、どうやってその声を変えればいいのかわからなかった。
「あなたは、マイラに夢中になっていない時だけそう考えていたのよ。」と、彼女は言った。
「でも、僕たちが離婚した時は、僕はマイラを知らなかったんだよ。」
「あなたはフィリッパやジョルジーナ、ジャネット、その他大勢を知っていた。」
「彼らの事は気にもしていなかったんだよ。」
　彼女はその有能な手を膝に置いて座っていた。
彼女の顔には彼女が彼と別れると言った時に見た見覚えのある表情があった。
それは苦々しい苦痛に満ちたものだった。
「あなたは私の事も気にしていなかったのね。」と、彼女は言った。