“Penguin Lost” by Andrey Kurkov (107)
“Penguin Lost” by Andrey Kurkov (107)
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新年までの時間は驚くほど速く過ぎた。
4時前に暗くなり、雪がひどく降る事で早く暗くなることをさらに速めた。
ニーナはテレビを点けた。
コンバイン収穫作業員についての古いソビエトのモノクロのコメディーの繰り返しだった。
テレビをだれも見ていないのに、集団農場の少女たちが、大声で歌い、台所まで聞こえていた。
台所では、ニーナが肉を焼き、リョーシャがジャガイモを剥かされ、猫が期待に胸を膨らませてないていた。
ソニヤが下の階の友達のところに行ってしまったので、ヴィクトルは、居間の閉まってはいるが少しすき間のあるドアのそばのラクダの毛布を敷いたベッドの上のミーシャと二人っきりで何もすることもなく佇んでいた。
「どうだい?」と、ミーシャの前にしゃがみ込んで聞いた。
ミーシャは、まず彼を見て、まるで何か言いたいかの如くバルコニーのドアを見つめた。
「ちょっと動かすよ」と言いながら、ヴィクトルはミーシャのベッドをドアから遠ざけた。
ミーシャは飛び降りて、見つめた。
「ちょっとだけだ、その後外で体を冷やそう。」
台所に行って、ニーナとリョーシャのツリーの飾りつけの仕事をほめ、台所の食器棚からプーさんのマグカップとコニャックのミニチュア瓶を盗み出した。
ニーナもリョーシャも振り返って見ることはなかった。
バルコニーのドアが、すき間風除けを引き裂くような音をたてて開いて、床に降って溶けた雪がドサッと入って来た。
「外に出ろ!ミーシャ!」
ミーシャは素直に、楽しそうに雪の上をペタペタ歩いて、ヴィクトルが付いてくるのを期待して、振りかえった。
ヴィクトルは、ミーシャの顔を立てて、軽い靴を履いて外に出て、カップとコニャックを雪の上に置いて、後ろ手にドアの留め金をかけた。
厚手のMoESの制服を着て出ればよかったと思いながら。
居間のライトに照らされながら、彼はしゃがんでプーさんのカップにコニャックを注いだ。
マグカップを持ち上げて「ミーシャ、お前に乾杯、お前の脱出と幸せな幸せな未来に!」と言った。
ミーシャは注意深く聞いていたが、犬が下でなき始めたので、バルコニーの手すりに足を掛けて下の方の雪の降る底の方を覗きこんだ。
ヴィクトルも手すりの方へ行きミーシャに加わったが、そこには何も見えなかった。