“The Woman” by Doris Lessing (5)

“The Woman” by Doris Lessing (5)
https://jp1lib.org/book/3902043/21ed13

すぐに、戦争中、第一次大戦中、彼らが同時に同じ地域で敵同士だったことが分かった。
ヘル・ショルツはその時、腕に傷を負ったのだった。
彼はそれを大尉の鼻先に出して、長い白い傷跡を見せた。
それを、勿論間接的にだが、その一撃を35年前に与えたのが大尉だったことは知る由も無かった。
それだけではなかった。
第2次大戦の間フォースター大尉はほとんど北アフリカに派遣されそうになっていた。
たぶんそこで当時親衛隊長だったヘル・ショルツと戦かう喜びを持ったかもしれなかったのだ。
しかし、戦況が彼を北アフリカではなくインドに向かわせたのだった。
これらの幸せな偶然があって、双方とも最大の友好関係を保っていた。
そしてもし大尉の笑いがヘル・ショルツのより少し遅れる傾向が有ったとしても彼らの避ける事の出来ない気質の違いで説明する事ができた。
30分も経たないうちにローザは2つ目の深紅のワインのフラスコを持ってくるように言われた。

 彼女はそれを持って戻ってくると、グラスとフラスコを置きちらっと大尉見て、帰ろうとしたとき、捕まってしまった。
彼の顔の表情は明らかに何か言ってほしそうだった。
ヘル・ショルツは親しげに愛想よく笑って、どれほど「歴史の偶然」(この言葉がほんの少し大尉の顔を引きつらせるのだが)が過去にかれらを敵同士である必要があったのかを後悔しているかを話していた。
彼は将来、隣同士になって手をつないで唯一の可能な敵に対して戦うであろうことを望んだ。
しかし、今やヘル・ショルツは話すのを止めて、すばやく大尉を見て、出来るだけ短い沈黙の後、声の調子を変える事なく、彼自身は平和の人、創造の人なのだと言い続けた。
:彼は彼の国に無数の歯磨きを彼の洗面所に届けることになり、人生でそうし続ける事を許される事以外は何も要求しなかったのだった。
しかも、基本的な民間人の特徴を証明するために、彼は彼の戦争中の称号、親衛隊長を捨てなかったのだった。

 ここで、ローザは曖昧な様子としか形容されない表情で、彼らの前に立っていたので、ヘル・ショルツは穏やかに彼女が何をしたいのかを尋ねた。
しかし、ローザは何も欲していなかった。
紳士たちのために彼女ができる事はそれだけかと尋ねると、テラスの端に行きそこの手すりに寄りかかりハンサムな若者が通るかもしれない通りを見下ろすのであった。


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