“The Cat's Table” by Michael Ondaatje (4)
(4)
そこには剥製の海洋生物やホースや発電機や手動ポンプやちり取りやブラシがほこりまみれで置かれていた。
5分ほどで見終わった後、もう一度前に見た店々に別れを言う為に行った。
床屋には相変わらず客はいず、よくわからないオイルを僕の頭に振ってヘッドマッサージをしてくれた。
僕たちは集合時間より前にふ頭に着いた。
僕たちは(ラマディンはジャラバ(モロッコの外套)を着て、カシアスと僕は海風に震えて)ふ頭でダニエルズさんを待つ事にした。
気が付いてみると、僕たちは街のほんの少しの部分しか見なかったのだった。
再建された貯水槽も見なかったし、カインとアベルの埋葬地も見なかった。
言葉が通じないので、身振り手振りでの意思疎通は、大変な一日だった。
やっと、ダニエルズさんがはしけを歩いているのを見つけた。
手に扱いにくそうな植物を持って、小さなヤシの木を持った、白い服を着た二人のやせた男を伴っていた。
彼は、多分僕たちがいなくなったのには気が付かなかったのか、元気よく挨拶をした。
白い服の男の一人が僕に汗を拭きながらウインクをして、小さなヤシの木を手渡したとき、それがエミリーだと気が付いた。
僕はヤシの木を受け取って、船まで10分かかるはしけ舟まで運んだ。
船に戻ると、僕たちは。ジャラバに包んで持ち込んだ、絨毯屋がくれた犬を受け取りにラマディンの船室に降りて行った。
一時間後にデッキに上がってきた。
既に暗くなっていて、オロンセイ号の灯火は陸地の明かりより明るかった。
船はまだ動かなかった。
食堂では今日の冒険についての話で騒がしかった。
ラマディンとカシアスと僕だけは黙っていた。
もし、一言でもしゃべれば、全部話すまでおしゃべりが止まらないだろうことを知っていたから。
ラマディンの狭いシャワー室で、引っかかれないように注意しながら、犬を洗ってあげた。
ラマディンのベッドのシーツで犬を拭き、食事に行ってくる間、客室に閉じ込めておいた。
「猫の席」で、他の人たちの話を聞いていると、エミリーがやってきて、今日の上陸はどうだった、と尋ねた。
僕たちが上陸している間何をしていたのかと聞くと、「物を運んでいたのよ」と言って、笑いながら行ってしまった。
デザートを食べていると、船のエンジンがかかったので、僕たち全員で出発を見るために手すりの方へ行った。
僕たちのお城は薄暗い光の水平線からゆっくり遠ざかり暗闇に入っていった。