“Mrs Dalloway in Bond Street” by Virginia Woolf (2)

“Mrs Dalloway in Bond Street” by Virginia Woolf (2)
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「本当に、田舎を歩くよりずっといいですわ!」

「私たちはちょうどやってきたところです、」とヒュー・ウィットブレッドは言った。
「残念ながら、医師の診察を受けるために。」
「ミリー?」と、ダロウエイ夫人は即座に思いやり深く言った。
「調子が悪くて、」とヒュー・ウィットブレッドが言った。
「そんなところです。ディックはお元気ですか?」
「これ以上ないくらいよ」と、クラリッサが言った。
彼女は歩きながら、勿論、ミリーは私と同じくらいの年50、51だわ、と思った。
だからヒューのやり方がそう語っていたように、(絶対そう言っていた)、愛すべき老ヒューは、ダロウエイ夫人を楽しく、敬意をもって、感情をこめて、人がその人の兄弟としゃべるくらいならむしろ死んでしまうだろうと考るくらい、どれほどはずかしいと思っていたかを思い出すというのは、ありそうなことだった。
ヒューはずっとそうだった、彼がオックスフォードにいたときから。
そして、やってきて、多分彼らのうちの一人は乗ることができなかった(なんということだ!)
じゃあ彼らはどうやって議会に座ることができたの?
どうやって物事を男性と一緒にやることができたの?
それは人の中に、この特別優れた直観力があったからだ。
あなたはそれを乗り越えることはできません。
やろうとしても無駄なんです。
そして、ヒューのような男たちは私たちがそれを言わないことを尊重しています。
それは人が愛するものなんです。
クラリッサは親愛なる老ヒューの中にそのことを思った。

彼女はアドミラルティ・アーチを通り過ぎ、細い木々が生い茂るだれもいない道の先に、ヴィクトリアの白いマウンド、ヴィクトリアの豊満な母性を見て、広大でと家庭的な雰囲気、いつも馬鹿げているが、なんと崇高なことか、とダロウェイ夫人は思った。
ケンジントンガーデンと角縁の眼鏡をかけた老婦人を思い出し、ナニーからじっと立ち止まって女王様に頭を下げるように言われたことを思い出した。
宮殿の上には旗がはためいていた。
そのとき、王と女王が返って来ているのだった。
あの日、ディックと彼女は昼食で出会った、とても素敵な女性だった。
貧しい人々や兵士にとっては、とても重大なことなのだ、とクラリッサは思った。
彼女の左側には、ブロンズの男が銃を持って台座の上に勇ましく立っていた。
南アフリカの戦争だ。

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