“Girl With a Pearl Earring” by Tracy Chevalier (137)

“Girl With a Pearl Earring” by Tracy Chevalier (137)

「次回来る時には、髪にピンクじゃなく白いリボンを付けて、黄色いリボンで髪を後ろで結んできてください」

彼女は頭ををほとんど動かさないぐらい軽く頷いた。

「座って良いよ。」

彼が彼女を解放したので、私も自由になった気がした。

次の日、彼は椅子をもう一脚テーブルの所に持ち出してきた。
その次の日彼はカタリーナの宝石箱を持ってきてテーブルの上にセットした。
宝石箱の鍵穴の周りには真珠がちりばめられていた。

私が屋根裏部屋で仕事をしていると、ファン・レーウェンフックが彼のカメラ・オブスキュラを持って到着した。
「君もいつかは自分自身のを持たなければいけないだろうな、」と彼が彼の落ち着いた声で言っているのが聞こえた。
「とは言え、お陰で君が描いているものを見る機会をもらったことは認めるよ。モデルは何処だね?」

「彼女は来れないんだ。」

「それは困ったことだな。」

「いや。 グリエット、」と、彼が呼んだ。

私は梯子を下りて行った。
私がアトリエに入ると、ファン・レーウェンフックが驚いて私を見つめた。
彼はとても澄んだ茶色の目をしていて、彼を眠そうに見せる厚い瞼を持っていた。
彼は全然眠くなどなく、警戒し困惑していて、彼の口は両端がきつく引き締まっていた。
私を見て驚いたものの、優しそうな様子をしていて、彼が立ち直った時には彼は私に頭を下げさえした。

今まで、私にお辞儀をした紳士は一人もいなかった。

この記事が参加している募集

推薦図書

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?