「シュレディンガーの赤ん坊」チャーリー・フィッシュ(7)

「シュレディンガーの赤ん坊」チャーリー・フィッシュ(7)
https://www.eastoftheweb.com/short-stories/UBooks/SchrBaby922.shtm

              <7>

私はその車をみつめた、私の両肩はほとんど笑いの様な乾いた呻き声で揺れていた。
それはベランダの近くに駐車していた。
;排水管は家の前を横切って伸びていたので、車の上からベランダの屋根に上る事は可能かも知れなかった。

 私は車の上に跳び乗り、ボンネットがへこみ、壊れたパイプに手を伸ばし、手をかけて1掴みずつ登っていった。
私はベランダの屋根の上に登ろうとしたが、排水管が曲がってしまった。
「モー!」私は叫んだ。
「片方の足を持ち上げてくれ!」

 モーは神経質そうに店のドアを見て、それからこそこそ走って来て彼の両手を挙げた。
私は彼の両手に脚をかけて、その後、彼のターバンに脚をかけ、体をベランダの屋根に持ち上げた。

私は、壊れた排水管を支えにして、不安定に端に寄りかかりながら、子供部屋の窓を覗き込んだ。
私はチラッと彼女を見ることはできたが、彼女が動いているんかどうかは知る方法は無かった。
喉に塊を持つというのはどういう意味を持つのか、今まで理解したことは一度もなかったが、今は自分がレモンを一個のみ込んだような気持ちだった。

 ベランダのすぐ上には、ラウンジの窓があった。
私は力を入れて蹴った。
それは大きな音をたてたが壊れなかった。
私から10mも離れていないところでサイレンが鳴った時、もっとちゃんと蹴ろうと気を引き締めて、ショックで屋根から滑り落ちそうになった。

 私はバランスを取るため四つん這いになってしがみついた。
慎重に、私は警察官が車から出てくるのを見るために振り向いた。
私の視界の端に、モーが静かに店に戻っていくのが見えた。

「動くな!」と、警官が叫んだ。

「これは私の家だ!自分の赤ん坊を連れに行く必要があるんです!」
少なくともそれが私が言いたかったことだった。
それは、ちゃんとした言葉にならなかった。

 「降りろ、直ぐに、そのことは署で聞こう。」と、警官が命令した。
彼はそれ以外の命令とおどしを叫んだが、私は耳の中に血液がドクドク言うのが聞こえただけだった。
私は窓の方に振り返り、それに力強いけりを加えた。


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