“Girl With a Pearl Earring” by Tracy Chevalier (11)

“Girl With a Pearl Earring” by Tracy Chevalier (11)

私は広場の中心に向かって歩いて行った。
そこには円の中に八芒星の形に石が敷き詰められていた。
星のそれぞれの頂点がデルフトの異なる部分を指していた。
私はそこがまさに町の中心だと考えていて、私の生活の中心と思っていた。
フランとアグネスと私は市場に走っていけるくらい大きくなってからずっとその星の図形の上で遊んでいた。
私たちの大好きな遊びは、私たちの一人が一つの星の頂点を選んで、一人が、コウノトリ、教会、一輪車、花などと、物の名前を言い、私たちがその方向に言われたものを探しに走るというものだ。
そんな風にして私たちはデルフトのほとんどの部分を探検してしまった。

しかし、一点だけは星の頂点がさす方向で行かなかった場所があった。
私たちはカトリック教徒の住むパピスト・コーナーには行ったことが無かった。
私が働くことになっている家は家から10分、ポットにお湯が沸く時間、の所なのに私は一度も通ったことが無かった。

私はカトリック教徒について何も知らなかった。
デルフトのはそんなに多くはいなかったし、私たちが使ってるの通りや店には一人もいなかった。
私たちが彼らを避けていたわけではなかったが彼らは彼らだけでいた。
彼らはデルフトの中で容認されてはいても、彼らの信仰をあからさまに誇示しないことが期待されていた。
彼らは外からは教会と見えない控えめな場所で個人的に礼拝をおこなった。

私の父はカトリック教徒と一緒に働いていた事があって、彼らは私たちと何ら変わりはないと言っていた。
もし何か違いがあるとすれば、彼らは厳格さに欠けている。
彼らは食べたり飲んだり歌ったりゲームをしたりするのが好きなんだ。
彼はあたかも彼らをほとんど羨ましがるかのように言っていた。

私は今、星のその方向に向かって、広場を超えて、他の人々よりもゆっくりと、歩いていた、というのは私はそのなじみ深さから離れることに気乗りがしなかったからだ。
私は運河の上の端を横切り、左に曲がりアウデ ランゲンダイク地区に上がって行った。
私の左には運河が道と平行に走っていて、市場の広場と区切られている。

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