“The Woman” by Doris Lessing (8)

“The Woman” by Doris Lessing (8)
https://jp1lib.org/book/3902043/21ed13

 大尉が突然口を挟んだ。
「実際、私も好きなんです、毎年来ます、それができます。」

 ヘル・ショルツは首を傾げ、フォースター大尉に同等の権利があることは認めながらも、「私はそれを私の記憶の最も魅力的なものと結び付けているんですよ、多分あなたも気になるでしょう・・・」

 「しかし、ほんとうに、」フォースター大尉が急いで同意を表した。
彼は無意識にローザの方をちらりと見た。
ヘル・ショルツは彼女の背中に目で話しかけていた。
ローザはもう鼻歌を歌っていなかった。
フォースター大尉は状況を受け入れすぐに、態度を改めた。
彼は不満そうにヘル・ショルツをちらりと見た。
しかしそれは遅すぎた。

 「私は18歳でした」とヘル・ショルツは大変大きな声で言った。
「18歳」彼は言葉を切って、それは、彼の残念そうな思い出し笑顔の中で、彼が18歳の時に持っていた、楽しげな純真な、跳びはねるような若さを復活させることのできる瞬間だった。
「私の両親は、はじめて、私が一人で休暇に行くことを許してくれました。
母の希望には反していましたが、一方父は許してくれました。」

 ここで、フォースター大尉は、母親は息子に甘い嫉妬心を抱くという、世界中共通の現象を認めて、思わず微笑んでしまった。

 「それで、ここに全く一人だけでここにいる事になったのです、考えても見てください!」

 フォースター大尉はほほえましくそれを想像したが、すぐに中断した。
「奇遇ですね、しかし私も同じ経験をしました。ただし25歳の時ですが」

 ヘル・ショルツは「25歳!」と、叫んだ。
自分の驚きを隠し、そうだなあ、仕方がない、とでもいうように、言葉を切った。
彼はすぐにローザが聞き返すと、「私はまさにこのホテルにいたんです。冬の休暇に。一人の女性がいました。」と言って、笑いながら言葉を切った。
「彼女の事をどう表現したらいいのか」。

 しかし、大尉は助け舟を出す準備はできていなかったようだ。
彼は居心地悪そうにローザの方を向いていた。
彼の表情は、はっきりと、ほんとうにあなたはそれを彼女に説明しなければならないのですか、と言っていた。
 

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