“The Woman” by Doris Lessing (3)

“The Woman” by Doris Lessing (3)
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それ以来、ヘル・ショルツが50歳の見かけの良い未亡人と話をしているところは見かけられたが、彼女は残念ながら健康上の理由で毎晩9時には自分の部屋に退席した。
そして、彼女はその健康上の理由で、彼が望んでいる、一緒にダンスに行くと言う事も出来なかった。
フォースター大尉は毎日午後に、ローザの姉さんと思われる魅力的なウエイトレスのいるカフェでお茶を飲んだ。

 2人の紳士は食堂でお互いの顔色をうかがい、通りではもし一方が近づいてくるのを見るともう一人は道を渡った。

 彼らの様子はスイスに移動するかもしれないと言う事を示していたが、いずれにせよ、季節が遅すぎるので、移動できそうも無かった。

 しかし、彼らは二人とも颯爽とし続けた、そして彼らが社会の浮気と成功と失敗の場面をそれを長い間評価し続けてきた静かな権威をもって観察している姿が見られた。
彼らは重厚な人物で、財産が有り、敬意を払うべき人物であった。
 
 それでも、彼らは最後の日差しの中でそのテーブルの両側に座り、彼らの周りにそびえたった山々は春の温かい太陽で白と茶色と緑にまだらになっていていたが、心地よいが不確かな太陽に抱かれていた。
彼らにその事を憤慨する資格があるのだろうか?
やせて背が高い軍人で、慎重に日焼けした、髪をきちんとなで付けたフォースター大尉はまごうことなく、未だにハンサムだった。
そして、大きく太っていて、無限の経験に支えられた温厚さを有するヘル・ショルツは間違いなく50歳の未亡人のお茶の時間の信頼以上の価値が有ったのだろうか?

 そんな春の夕暮れに60歳と言うのは不公平だ。
特に、10歩も離れていないローザがえりが深く開いた刺繍の付いたブラウスを着ている場合にはだ。

 そして、彼女はその残酷さを楽しむかのように、突然鼻歌ハミングを歌うのを止めて欄干にもたれかかった。
何かに向かって彼女が手を振るり、下の通りに呼びかけると、下に居る大変ハンサムな若者が手を振って答えた。
ローザは彼が歩き去るのを見てため息をつき、振り返り夢見心地で微笑んだ。


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