“Writing Box” by Milorad Pavic (90)

“Writing Box” by Milorad Pavic (90)
https://jp1lib.org/book/16698678/7e0b66
水は私の命を救うために私にも恩着せがましい態度を取ったのです、そのことが私がそれを手にした経緯です。
その箱とその所有者がギリシャ船「イシドール」に乗船してきたとき、私はその船でバーテンダーをしていました。
彼はすでにその時大変奇妙な男でした。
結婚式にはいつも自分専用のパンを一枚持参するような、変な人の一人でした。
彼は3つのことしか気にしませんでした:
彼の内部の事、彼の表面の事、彼の下にある物の事。
船が停泊するや否や彼は片方は赤もう一方は黒い長靴をはいて、かけ事と大酒盛りをするために上陸して行ったものでした。
彼は空に、彼以外の皆には見えない星々を見ていました。
私は彼の最後の言葉も聞きましたが、それを理解しなかった。
彼は言った:「堕天使だ! 俺たちは絶望的だ」。
船が遭難した時、私が何か木の物体を掴んだ時、彼は何かにあたって波間に消えてしまった。
波が私を岸に押し流したときだけ、私は船長の箱にしがみついているのに気づきました。
後で私はそれが彼の物であると分かり、それ以外の事もだんだん学びました・・・。」

 スタブラの顔の笑いは突然またもや変化した。
女性的なそれから、銀を加工したような硬い男性的な笑顔が戻り、彼はこう付け加えた:
 「M様、あなたはきっと、そろそろ自分のワインの支払いをする時間だと考えていらっしゃる。」
「そうだよ、スタブラ。」
「そうですね、えーと、M様、そんなんじゃないんです。
私はあなたに借りがあるのであって、あなたは私に借りがないのです。」
「どうしてなんだ?」
「勝利したものが月桂冠を得る。
私があなたに箱を売った時、あなた様は私が、失礼ながら、あなたに正当な金額以上のお金を吹っ掛けたとお考えになったに違いない。
そうじゃないですか、正直におっしゃって下さい?」

 「そうだ、スタブラ、お前が受け取るべき金額よりほんの少し高いのではなかったかと言うのは少し私の心に引っかかっていたよ。」

 私の言葉で、スタブラは彼のポケットから500ドイツマルクをとり出しグラス越しに私に手渡した。

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