“Heart of Darkness” by Joseph Conrad (55)

“Heart of Darkness” by Joseph Conrad (55)
https://www.gutenberg.org/files/219/219-h/219-h.htm
「あなたに全ての危険を冒す権限を与えます。」、少し置いて、彼は言った。
「俺は何かする事を拒否するよ」と、俺は短く言った。
その言い方は彼をびっくりさせたかもしれないが、それはまさに彼が期待した答えだった。
「そうだな、私はあなたの判断を尊重しなければならない。
あなたが船長なんだから。」と彼は注意深く慎重に言った。
俺は感謝のしるしに俺の肩を彼の方に向け、霧の中を見つめた。
それはどれくらい続くのだろうか?
それはもっとも絶望的な見張りだった。
この悲惨な奥地で、象牙を探しているカーツへの接近は、まるで彼が寓話に出てくるお城の中で眠る魔法にかけられたお姫様の様に、多くの危険に取り囲まれていた。
「彼らは襲ってくると思いますか?」と局長は打ち解けた口調で聞いた。
「俺はいくつかの明白な理由で、襲ってこないと思う。
一つは、霧が濃い事だ。
もし彼らがカヌーで岸を離れれば、我々が移動しようとした場合と同様に、彼らは霧の中で迷子になるだろう。
しかし、俺は両岸のジャングルは突き進めないと判断したのだが、そこにはいまだに我々を見ている彼らの目があった。
河沿いの藪は当然大変厚いが、その後ろの下草は見たところ通りやすそうだ。
しかし、一寸晴れた時に、俺は確かに蒸気船と横に並ぶ一艘のカヌーも見なかった。
攻撃がありえないと俺が考えたのはその叫び声、俺たちが聞いた声、の性質だった。
それらはすぐに敵意の前兆となる獰猛な性質のものではなかった。
予想に反した、野性的で暴力的ではあったが、俺には押さえられない悲しみの印象を与えた。
蒸気船の周りはある意味抑制できない悲しみを持ったそれらの原始人たちでいっぱいだった。
危険があるとすれば、俺が思うには、それは人間の大きな情熱が解き放たれたところに我々が近づいたからだ。
極端な悲しみでさえそれ自体が究極の暴力のはけ口になるかもしれないが、しかし、より一般的には無気力の形をとる・・・。」

「巡礼達がじっと見つめているのを見るべきだった!
彼らはにこやかに笑う心を持っていないし、俺に悪態をつくこともない。
しかし彼らは俺が怒ったと思っている、おそらく恐れを抱きながら。
俺は普通に講義をした。
俺の親愛なる少年たちよ、思い悩むことはない。

この記事が参加している募集

#推薦図書

42,454件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?