“Writing Box” by Milorad Pavic (88)

“Writing Box” by Milorad Pavic (88)
https://jp1lib.org/book/16698678/7e0b66
何と言う天気でしょう!
今夜は魚たちも泣いていますよ・・・
すぐにご用意いたします。」

 そしてウエイターは水割りの白ワインのグラスをテーブルの上に置いた。
「スタブラ、ちょっと質問していいかね?」
「どうぞ。神は燃える藪からお聞きになりましたが私たちは答えませんでした。」
「どうやって君が私に売った筆箱を手に入れたのか話してくれ。」

 スタブラの顔に硬い男らしい笑いが現れた。
笑顔は男や女の顔に何世紀も消えずに、非常に長い間続くこともある。
世代はそれを遺産として受け取る。
ウエイターの笑顔は少なくとも数世紀前からの物だった。

 「私は今も同様に売り物があります、」と彼はつぶやいた、「私は加齢を治療する薬を持っています。あなたの小切手をすぐに現金化するつもりはありません。」

 「加齢を治療する薬ってどんなものなんだね、スタブラ?」
「私たちの魂はゆっくりですが、私たちの体は成長します。
そのことがあなたが毎晩開け放たれた窓に立ってあなたから10回、悪魔を追い出す理由です。
難しくはありませんよ、あなたはただそのやり方さえ知ればいいのです。
(モーゼの十戒の)それぞれの戒律毎に、出来るだけ深く鼻から息を吸い、その後あなたの体からお腹までの全ての空気を口から吐き出すのです。
見覚えのない重い匂いが口から出てきたら、あなたにはそこにいるのです。
それが悪魔の匂いなんです。
彼が出て行こうとしていると言う事です。
神の戒めの心地よいにおいによって追い出されるのです。
こんな風に悪魔が現れるまで毎晩10回息を吐きなさい、そうすればあなたはもう10年長く生きられるでしょう・・・。」

 「すばらしい、スタブラ、しかし私はまだあの箱をどこで手に入れたかを知りたいのだよ。」

「そうでございますね、あなたは自分の人生でどこに種をまくかは知っていても、どこで刈り取るかは知りません。

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