“Writing Box” by Milorad Pavic (52)

“Writing Box” by Milorad Pavic (52)
https://jp1lib.org/book/16698678/7e0b66
ギリシャ語に関しては反対で、私はもはや何も話せないが私に言われたことは何でも理解できる。
一言で言えば、人は多かれ少なかれ、言語障碍者で戦争から現れるのである。
戦争中、セルビア語で言葉に詰まり始めました。
そしてそれだけではありません。
自分がボスニアの恐怖の中にいることが分かった時、私の周りにいる人々の名前を、知り合いや親戚の名前さえも忘れ始めた。
私は彼らが誰だか彼らが何をしたのか私が何処で知り合ったのか、彼らがどんな性格なのかは充分知っていた。
私の記憶の中で彼らがどんな格好なのか正確に知っていたが、彼らの名前の全世代が私の心から消えてしまい、私が住んでいた人々のいる大きな町が苗字も名前もなく残され、わたしはアダム以前の名前のない、処女のように清らかな世界になってしまった世界を移動していたのだ。
最後には、ボスニアで私は自分自身の名前を忘れてしまった。
その事はこのコースを開始するにあたっての素晴らしい基礎になると私は思った。
ちょうどあなたへの思いが、スタートのための優れた基礎であるように。
あなたの名前を忘れないように私は水の表面にあなたの名前を書き続けた。
サヴァ川で。
 
 あなたは森が移動することを知っていないのですか?
 
 
           レッスン2
 
 
 母語と母乳が関係している事から始めなければならない。
もしあなたが子供の頃に習った言葉を忘れたいのなら、あなたは自分が育てられた母親の食べ物を忘れなければならない。
歌と一緒に準備された食べ物はその歌詞で味付けられいている。
そのことが私が急いでシドからベオグラードへ行った理由だった。
私は友達のところに隠しておいたパスポートを取ってブタペスト行きのバスの切符を買った。
そこでスロバキア行きの24時間ビザを申請し受け取って、そのままスロべニアとイタリアの国境へ行ったのだった。

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