常滑の器をめぐる旅
今年、というかこれからやっていきたい活動の一つが"器をめぐる旅"。
日本には「日本六古窯(にほんろっこよう)」という中世から現在まで生産が続く代表的な6つの産地(越前・瀬戸・常滑・信楽・丹波・備前)のほか、波佐見焼や有田焼、益子焼、美濃焼、砥部焼など焼き物の産地がたくさん。
最近は器作家さんの作品も人気で、若い作家さんの新しいデザインが出てきたり、器もファッション感覚で取り入れやすくなってきたなぁという印象です。
昔は器のセレクトショップはなんだか敷居が高い感じがして、入るのに勇気がいったけど。笑
今は日常でカジュアルに楽しめるようになってますね。
日々撮影のときの器は都内にある器のレンタルショップで借りることがほとんどなのだけど(撮影小道具のレンタルショップまとめはこちらに→⭐︎)、
お店も限られているので器も既視感が強くなってしまうのです。
この料理をこういうイメージで撮りたいってなったときにサイズ、色、デザインで絞っていくとだいたい同じようなお皿を使うことに…
雑誌とか見てもこのお皿、あのレンタルショップの器だな〜と分かってしまうし。笑
そういった既視感を外して、新しい世界観を作るのに作家さんの新しい器やリースにはないデザインの器を時々仕入れてストックしています。
昨年、Instagramで常滑で作陶されている作家さんの急須を発見して、そのフォルムにすごく惹かれて常滑焼きまつりのイベントに足を運んできました。
常滑焼きまつりでは昔から長く活動されている方から若手の作家さんまで幅広い作品が勢揃い。
イベント会場から、常設のお店までたくさんの器(主に急須)を見ることができました。
常滑焼きの特徴は、知多半島の鉄分が多く含まれる土を使っているところ。お茶に含まれるタンニンとこの鉄分が反応して渋みが程よくとれ、まろやかな味わいになるのだとか。
この鉄分が多く含まれた土を使った陶器は「朱泥(しゅでい)」と呼ばれ、発色の良い朱色が特徴的。
「やきもの散歩道」という陶磁器店やギャラリー、窯などが並ぶエリアのお店で朱泥の茶器セットを発見し、あまりのお手頃価格で即購入。
店主のおばあちゃんが奥から木箱を出してそこに丁寧に包み入れてくれてあたたかい気持ちになりました。こういうお店での交流がまた気持ちを潤わせてくれますね。
今回、お目当ての作家さんご本人はイベント出展されていなかったのだけど、やきもの散歩道内のギャラリーで作品が取り扱われており、実物を見られることに。
お店の方がとても親切に説明してくれて、急須に水を入れて水の流れや水切れ、使い心地も試せました。
蓋のズレがなくぴったり密着して蒸らしの蒸気が逃げない造りだったり、茶杯に注ぐときの水流の美しさ、注ぎ終わりの水切れの良さなど美しさを見極めるポイントがとても多いんだな、と説明を受けて気づきました。
急須って本体・蓋・注ぎ口・茶漉し・取手とそれぞれパーツを作って組み立てていくので、とても技術の高い焼きもの。
「常滑焼」は国の重要無形文化財の指定を受けていて、その技術保有者で人間国宝になっている方もいらっしゃいます。
ここ数年の情勢で、器も様々なオンラインストアなどで購入できるようになり、私も時々利用しているのだけど、やっぱりこうして実物を見て触れて直接話を聞いたりできると、そのものへの愛着や知識、思い出もより深まる気がします。
器の肌触りや持ったときの重量感は実際手に持ってみないと分からないものだしね。
そして、私がこの常滑旅で購入した茶器はこちら。
千葉光広さんがつくられた茶器セット。
灰釉のかかったころっと丸い(取手も丸くてかわいい◎)、両手にすっぽり収まるサイズ感の急須。
そして同じ千葉さんの湯冷しと湯呑み。
とにかく美しくて眺めてるだけでも幸せな気持ちに。
形の美しさはもちろん、すっと落ちる水流の美しさ、水切れの良さ、蓋の密着具合とどこをとっても素晴らしく感動でした。
器についての背景や思いを知って持つことは、ものを大事にすることにも繋がるよなぁと改めて実感。
長く使える好きなものに囲まれた暮らしは、日常に華やかさや喜びを与えてくれると思うのです。
私にとって器はそういうものの一つで、しょっちゅう買い増やしていくのは難しいものだからこそ、作品の背景や思い、機能性を知って、実物を見て触れて迎え入れるというのを大切にしていきたいな。
都内のセレクトショップに並んでいる作家さんの器はほんの一部で、焼きものの産地にはまだまだ知らない作家さんや、機能美を備えた器もたくさんあるのだと、今回常滑を訪れて再発見できました。
これから少しずつでも、私の視点で気になる産地や窯元に訪れてまだ知らない技術を学んだり、気づきを発信していきたいと思います。
一緒に学びたい方もいたらいずれ部活的に活動できたらいいな。
私の器・技術を見てほしい!という方もいらっしゃればぜひご連絡ください。
全国各地飛んでいきます。笑
さて、次はどの地に器旅へ出ようかな。
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