はじめてのジャンプ ー 両足ジャンプ
最近ワルツジャンプが練習メニューに加わったのだが、もう怖くて怖くて怖くて、とにかく怖い。もともと怖がりな上に運動神経もないし若くもないので、ジャンプだけはどう考えてもできるようになる気がしない。何度も言うが、ジャンプどころじゃない危険度のアグレッシブスケートの人にはもう、尊敬しかない。同じ人間とは思えない。
それでも、振り返ってみるとこの1年で両足で半回転するジャンプならかなり安定してできるようになった。ということは、もう1年頑張って、来年の今頃までに片足半回転のワルツジャンプができるようになればいいのだ。あせらずゆっくり進んでいけば、70歳くらいまでには美しいアクセルも飛べるようになるだろう(笑)
最初から半回転など誰にも習わずにできてしまうような運動神経の良い人も多いと思うが、今回は私のようなどうしようもない大人スケーターがなんとか両足で半回転するようになるまでにはどうすれば良いか、というレベルの話をしようと思う。
まず、ジャンプの回転方向は、右回りでも左回りでも良い。自分の得意な方を選ぶ。おそらく反時計回りの人が多いはずだ。ちなみに私は実は左利きなのだが、もともと細かい作業は左、力を使う作業は右を使う両利きなので、やはり反時計回りである(世の中のありとあらゆるものは右利き専用にできているので、ドアを開けたりする力仕事は右の方が得意になった)。
時計回りに回りたい人は、動画や先生のお手本を鏡のように使って、反対に動けば良い。
■バニーホップ
初めてのジャンプとしては、まずバニーホップを習う。でも、うちのクラブでは数回やらせてみんながすぐにできるようになるのを確認すると、その後は、あーもーバニーホップなんてやんなくていいよーと言われて終わりである。やり方さえ分かれば、誰でもすぐにできるようになると思う。
↑ 今回もまずはジプシー先生の動画から。2つのバニーホップのやり方を説明しているが、ただ両足で上に飛ぶジャンプもバニーホップと呼ぶのには違和感。アーティスティック以外の人たちはこれもバニーホップと呼ぶんだろうか?ここではまず2つ目の、片足で跳ぶ方法だけを練習しておけばいいと思う。どうでもいいけど、英語のバニーホップと日本語のうさぎ跳びは似ても似つかない動きなのはなぜ。
ほぼ足を踏みかえるような動作のバニーホップができるようになったら、両足で上にジャンプする方法に進む。
■まずはその場で上にジャンプ
次に、ローラースケートを履いてその場で両足を使って上にジャンプしてみる。ただし、次の段階のジャンプへ繋げるために、この段階から正しいやり方を身につけておこう。
1)両手を横に広げる。
2)両膝を曲げて、腰を落として、同時に両手を下げる。グーにして合わせた手を下からすくいあげるような感じで胸まで持ち上げながら、同時に飛ぶ。手を下ろす動きと腰を落とす動き、手をすくいあげる動きと飛び上がる動きを同時に行う。
3)着地と同時に膝を曲げて着地のショックを和らげる。着地後手を横に開く。
↑ ニコール・フィオーレの動画。本当はジャンプ下手なんだけどね、とのこと。
0:58 膝を曲げることが大切。お尻を突き出したり反り返ったりせずに、まっすぐ下に腰を落とす。スクワットみたいにちょっと練習してみよう。足腰をバネのように使って飛ぶので、たっぷり膝を曲げることが大切。着地のときも、インパクトを吸収するために膝を曲げる。
1:40 両足は平行に。内股も外股も×。
2:05 両手を横に広げる。膝を曲げる。体を上げると同時に腕を胸でクロスさせる。着地と同時に手を横に広げる。
2:30 最初はカーペットなどの滑らない床や芝生の上でやってみるといい。ローラースケートを履かずに練習して感覚をつかむのもいい。
次の段階では手をクロスさせるのでニコールのやり方も良いが、最初は体と重心を安定させるためにクロスさせずに、手はグーにしておへその下で合わせてからすくいあげる方法の方が良いと思う。手をクロスすると、慣れないうちは上半身が傾いたり重心が動いてしまうことが多い。すくいあげるような手の動きは、この動画が分かりやすい。
↑ ダーティ・デボラの動画。靴の軋みが……ううううう。我慢して途中から見てみよう。2:55からの飛び方がやってはいけないやり方。その後、何度かやっているやり方が、手をすくいあげるような正しいやり方。最初はこれが一番安定するのでお勧め。3:30まで見たら、一旦停止しておこう。
着地の時は、2人とも言っているように膝を曲げてインパクトを吸収させることが大切だ。今回も、ダウン、アップ(ジャンプ)、ダウン(着地)の動きなのである。
■滑りながら真上にジャンプ
その場でジャンプができるようになったら、今度はゆっくりと前進しながらジャンプしてみる。上のダーティ・デボラの動画を今度は3:30から4:05まで見ると、この練習のお手本がよく分かる。
安定して滑りながら飛べるようになったら、今度はバックで滑りながらジャンプ。バックの時は、体重を後ろにかけると、後ろに転んで頭を打ちやすいので、少し前の方に重心を持ってきて飛ぶ。慣れない間は、着地後に両手を前に伸ばすとカウンターウェイト(バランスをとるおもり)になって良い。
で、ここまで来たらいよいよ回転である。
■その場で90度ジャンプ
次に、ローラースケートを履いてその場で両足で飛び、90度方向を変えてみる。
これくらいなら、誰でも最初からできると思う。これで90度、90度、90度と繰り返して飛んでいるうちに、「あ、飛べるな」という自信が出てくるはずだ。ローラースケートで回転しながら飛ぶ感覚が分かってくると思う。私は、いまだにまずは準備運動としてこれをやって、飛ぶ感覚を確かめるのと同時に「ほら大丈夫、怖くない」と自分自身に確認させている(笑)
■その場で半回転ジャンプ
90度が飛べるなら、次は半回転ジャンプ。その場でジャンプして180度方向転換してみよう。ただし、さらに上のジャンプに繋げていくために、こちらも最初から正しいやり方を身につけておこう。
1)(反時計回りの場合)左手を前、右手を横に広げる。
2)膝を曲げて重心を落とす。
3)ジャンプして回転する。回転しながら、両手を胸に引き寄せる。左手が上。ほんの少し中央より左胸よりで。
4)着地と同時に膝を曲げて、両手を横に広げる。
↑ もう一度、先ほどのダーティ・デボラの動画を再掲する。今回は4:00あたりから7:36までを見てみよう。回転する時は、肩が大切。
デボラはこのあと360度の1回転を同じように両足で飛ぶ方法を見せるが、うちのクラブではこの1回転は特に練習せず、半回転ができるようになったらワルツジャンプへと移行する。もちろん1回転もいずれ大切になってくるが、この段階ではまだ気にしないでも良いと思う。
■滑りながら半回転ジャンプ
その場で両足の半回転が安定してできるようになったら、滑りながら半回転ジャンプしてみる。フォアが安定したら、バックも同じように滑りながらジャンプして半回転する。直線をフラットなエッジで滑りながら、フォアからバックへ、バックからフォアへとジャンプして何度も練習する。慣れてきたら、着地後チェック動作(手を横に広げて上半身の回転を止める動き)をしてから(反時計回りの場合)左足のフリーレッグを後ろへ伸ばす。
これが安定してできるようになるまでに、私はだいぶかかった。最初の数か月は技術習得よりも、怖くて仕方なくて飛ぶ勇気を振り絞るのが大変だった。バックで滑りながら半回転できるようになるまでに半年くらい、コロナで中断したとはいえ、恐怖が完全になくなるまでにさらに半年くらいかかっている。1年経って、ようやくもっと高く美しく飛ぶように心がける段階まで来た。でも普通の人なら、もっと早いはずである。アイススケートの安藤美姫は、スケートを始めて2年でトリプルを飛んでいたらしい。
ぜひ皆様も、ガンガン飛んでくるっくる回ってみてくださいませ。
ツイッターでもローラースケートについてつぶやいています。
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