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空き家問題を解決する不動産プラットフォーム『家いちば』とは?(読書メモ)

空き家・不動産の売ります掲示板『家いちば』の特徴とは?

念頭にあったのは増え続け、流通しない空き家をどうやったらたくさん流通させるかという点だった。
大きな課題は空き家が値段の付かないほどに価値がなくなってしまっている状況だった。
そこで思い付いたのが「セルフサービス方式」だ。

すべてのサービスを万人受けのサービスにする必要はないのだ。
家いちばの場合は「掲載と商談はセルフサービス」とした。売り手は自分でサイトに載せる写真や文章を用意しなければならないし、買い手からの質問や内覧の対応も自分でやらないといけない。

家いちばでは、セルフサービスで自分でサイトに直接掲載できるから、売れるとか売れないとか誰からも何も言われることがなく、自由に売り出せる。私は、売主が「こんな物件は売れないのではないか」と悩んでいるだろうことに着目して、「何でも、どんな物件でも売っていいですよ」ということを明確に打ち出した。どんなに古くても、たとえ雨漏りしていても、雑草だらけでも、部屋にはまだ荷物がたくさん残っていても、どんな状態でも掲載して構わないとした。
「価格が決まってなくても大丈夫です」ともした。

家いちばはこれまで困っていた売り手たちの「駆け込み寺」のようになった。
「空き家問題の救世主」ともテレビで紹介された。

不動産とは商品が一つしかない。買い手はそれを何とか譲ってもらわないといけないのだ。しかも相手は人間で、感情もある。さらに、自分に売ってくれるのかどうかは、その人あるいはその人の家族たちが話し合って決めるものだ。欲しいと言う人に売りませんという決断はいくらでもあり得る。

契約には宅建士が関与、安全を担保

自由なセルフサービス(直接商談)が家いちば最大の特徴だが、自由なだけでは足りなく、やはり安全に利用できなければならない。そこで、家いちばでは、不動産取引最大の山場には国家資格の宅地建物取引士(宅建士)を介在させることで安心な不動産売買を実現している。

商談フェーズは、ウェブサイトの掲示板に物件を載せてから購入希望者との商談が始まり、最終的に売り手と買い手との間で売買についての合意、つまり商談成立するまで。ここまでは売り手、買い手がセルフサービスで行う。
そして、商談が成立してから売買契約、物件の引き渡しをするまでの契約フェーズでは宅建土が中心となって契約書類の取りまとめを行っている。ここは、通常の不動産売買と大きく変わらず、法令に則した形で進めていく。登記の事務も指定の司法書士で執り行い、安全な取引となることを最優先としている。

家いちばは完全なセルフサービスではなく、後半のフルサービスと組み合わせたハイブリッド型なのだ。

空き家オーナーにとっての利点

通常の売買は、売却依頼を受けた不動産会社によって「物件を整える」という作業からスタートする。すなわち物件を売れる状態、売りやすい状態にするのである。普通、不動産はそのままで売れる状態にないことが多い。

一方、家いちばの場合は、物件を整えることをせずに、そのままありのままで売り出すことがほとんどだ。荷物はたくさん、修理が必要な箇所があちこちにある。建物が未登記のままも多い。それでも、まず売りに出してみる。

しかし、そんな空き家でも実はニーズがあったのだ。家いちばのプロセスは、空き家オーナーの背中を押す仕組みとなっているのだ。

空き家は本当に「問題」なのか?

2018年の全国の空き家は418万戸。
20年間で倍増した。
ついに一軒家の8軒に1軒(13%)が空き家という状況になっている。
出所:総務省「住宅・土地統計調査」

一方でこういう状況であるにもかかわらず、新築住宅の供給量は減っていない。
ピーク時からはいくぶん減ってはいるものの、今もって毎年100万戸近くの住宅を造り続けているのが日本の住宅産業なのである。
それ故、今後も空き家は増え続けるだろう。

しかし、家いちばをやってみて分かったのは、そんな空き家でも欲しいという人が実はたくさんいるということだ。
安ければ買いたい人がいるのだ。「当たり前だ」と言われそうだが、これまで安く売ろうとしてもそれを売る手段があまりなかった。


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