初めてのことを、してみる。|12|『鬼滅の刃』の沼

最後に全巻読んだ漫画はなんだろう?『のだめカンタービレ』かな、『バガボンド』は途中で挫折しちゃったしなぁ…その前はなんだっけ、『スラムダンク』なら実家にあるわ!というくらい漫画に疎い私。そのくらい漫画の世界にハマることへの耐性がないからか、『鬼滅の刃』には完全にやられた。

Amazonプライムでアニメを観て、次に映画、それから友達から漫画を借りてすっかりその沼にハマり、世界が鬼滅一色になってしまった!これには自分でも驚いた。何をしても鬼滅のことが頭を離れない。仕事にも支障をきたすほどだった(要は実際的なことにやる気が出ない)。世の漫画好きの人は、ちゃんとその辺のバランスがとれているのか。漫画の空想の世界と、「ママ〜お腹空いた〜」という喫緊の事案に応えていく現実とをどう行ったり来たりしているのか。(たぶん私が極端なだけ)

さておき、この『鬼滅の刃』を観て読んで、人生のいろんなことを学んだ。この作品にはいくつもの物語が用意されていて、きっと人それぞれ引っかかる「琴線」が違う。私の場合はここだったというそれを箇条書きでつらつらと綴ってみたい。作品の書評ではなく、まるで届かぬラブレターのようなものです。(ネタバレもあります。作品中の名前の間違いなどたくさんありそうです!)

1▶︎自分の限界を決めるな!人はどこまでも成長できる!というエール

月並みなんだけど、鬼滅を最後まで読んだら、なんだか体の内側から私もやってやる!という力が漲った。「成長欲求」がもりもり湧いて来た。なんでもできる気がした。「私は死なない」みたいな生死が倒錯した危うい自信も含めて、根拠のない自信に満ちていた。なんなら私は柱になりたい!なれる!くらいの。

なぜここまで思えるんだろう。それは炭次郎を筆頭に、登場人物の苦悩や努力が細かく描かれていて、完全に心をぴったりと沿わせて成長を見守りながら、ラストの鬼舞辻󠄀無惨を倒すところまでを体験できたからだと思う。言ってみたら、"擬似成功体験"をしてしまったのだ!

なにせ鬼殺隊はみな、私たちと同じ「人間」だ。そこが『ドラゴンボール』とは大きく違うところ。悟空はサイヤ人だから、やっぱり自分とはまったく別の民族(宇宙最強の戦闘民族)…と線を引いてしまっていた気がする。一方、鬼滅では自分と同じ人間が、もちろん実際に刀から水や炎を出すようになることはなくとも、精神的にどんどん脱皮して成長して行けるのだと、励まされたのだ。

また、鬼滅の舞台は大正時代の日本という設定もいい(ちなみに私の死んだおばあちゃんは大正2年生まれ)。日本の自然や文化を描いたり、登場人物の言葉遣いや固有名詞(キャラクターの名前や技の名前)などに美しい日本語を使うことによって、現代と漫画の舞台とをゆるやかな糸で繋いでいる。それもまた、鬼滅の世界を自分に引き寄せられる仕掛けだろう。(漫画でのラストの現代設定の書き下ろしページ、あれも今の世界に鬼滅の物語をぐんと引き寄せてくれたようで、とても良かった!)

2▶︎自己実現は二の次。他者のため・使命のために生きる強さ

鬼殺隊は皆、家族や大切な人を鬼に殺されるなどの過去を持っている。それが彼らの「悪鬼滅殺」という動機になっていて、以前の自分の悲しみ・憎しみが「もうこれ以上、悲しんだり苦しんだりする人を増やしてはいけない」という使命感を燃やすことになる。鬼がいなくならなければ、この世の、他者の幸せはない。他者が幸せにならないのなら自分も幸せにはなれない。仏教で言うところの「自利利他」の精神。自己実現なんてちっちゃいものは、炭次郎や柱の面々はみんなとうに超えている。

その逆に、自分の幸せのためだけに行動しているのが鬼たち。無惨は「日光を克服して不死の体を手に入れたい」というエゴから千年以上も鬼を増やし続けたし、上弦の壱である黒死牟は最後まで自分のコンプレックスと戦っていた。(そこまでの執念もまた理解できるという、鬼の中の人間らしさが垣間見えるところも鬼滅の魅力)そして鬼たちは、絆で繋がった人間たちとは対照的に、孤独な者が多い。

無限城の総力戦で誰もが自分の命を張って無惨に向かっていく姿。もう涙なしでは読めないけれど、「使命」を知って生きる人は強い。一方、「使命」が外側から与えられるものではなくなっている現代、それは自分で見つけるしかない。自分で自分に与える使命ってなんだろう?それは使命と言えるのか??

突然だけど、吉武大輔さんがポッドキャストでこんなことを言っていた。

自分の使命を知るには、二つの質問をしたらよい。一つ目は「あなたの強みは何ですか?」、二つ目は「あなたはなにで人に貢献していきますか?」。
これが両輪となって、利己から利他へとパラダイムシフトが起こって行きます。 −「この世界を生きるために -To live in the world-

与えられたものであれ、自分で見つけたものであれ、使命に生きたい。(…と思うのは、私がやはり煉獄さんと重なる炎系の熱いタイプだからかもしれない)

その2に続きます!(呼吸のこととか輪廻転生とか。いつ書くのかは未定)







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