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初めてのことを、してみる。|2|イルミネーション

もうすぐ5歳になる娘はキラキラしたものに目がない。スパンコールやプラスチックの透明の宝石、キンキラリンの折り紙、ちょっとラメが入った服や靴。

そんな娘を正直、「キラキラならなんでもいいの?条件反射になってるんでなくて?」と斜めに見ていた私。たぶん、キラキラがちょっと、いやかなり、昔から苦手だったのだ。

まず、今回話題のイルミネーション。これはエネルギーの無駄!とキッパリ思っていた。
東京で街路樹や建物に電灯がぐるぐるしているのを見ると苦しくなった。いくらLEDとかでエコにしてみたって、キラキラを見たいという人間の完全なるエゴ。地球に申し訳ない、とそのくらい思っていた。

あと、キラキラ全般に言えるのだけど、なんかこう、身につけるとかは恥ずかしくて。飾ってまーす!という感丸出しで。女の人が飾ること、自分を綺麗に見せようとすることに対して、自惚れ=カッコ悪い、と感じてしまう自分がだいぶ根強い。

で、そんな中行ったのが、東京ドイツ村(千葉にあるのに東京、なぜドイツ?という不思議なテーマパーク)のイルミネーション。仲良しの友達家族と遊びに出かけた。年頃の娘たちがきっと大喜びするだろうなぁ、と思って。

案の定だった。娘は「うわぁ〜きれい!!!」と心で思っていたことがそのままはみ出しちゃったみたいな感嘆の声をあげていた。娘の瞳の中で、キラキラと色鮮やかな光が踊っていた。まるで自分が光になってしまったみたいに。夢の中みたいに。

そう、あんなにアンチだった私もすっかり、イルミネーションを堪能していた。夕方の、夕陽が夜の色に馴染んでいくマジックアワーに、遠慮がちにイルミネーションが灯り始める。芝生一面の薄い黄緑色にLEDのカラフルな光が滲み、空間が淡くなっていく。季節は冬、立春の手前。凜とした空気が、イルミネーションの色彩も輪郭もきりりと際立たせる。

漆黒の夜が訪れ、イルミネーションは光の勢いを増した。「チャイナランタン」という企画イルミネーションが行われていた。中国的などぎつい色合いの大型のランタン群の中を、夢見心地でお散歩する。異界。なぜかこの灯りの中では、子ども達も大人びたようなあるいは妖怪じみているような、いつもと変わった表情に見えた。

イルミネーション=光の爆発。あ、宇宙か。なんで人はこんなに夜の光が好きなのか、わかった気がした。ただの「非日常」というのではない、懐かしい、今となっては日常に非ざる宇宙的な光景なのかも。暗闇は怖いけれど、光があれば歩める。仲間の光も見える。しばし、時空が乱れる。

娘は、ドイツ村のサービスでグリム童話のお姫様(ラプンツェル)になって、ドレス姿に魔法のステッキを手にイルミネーションの中を闊歩していた。お城にいかなくちゃ、とか同じくお姫様に扮したお友達とペチャクチャおしゃべりしながら。
姫君、この世界があなたの王国です。どうぞお楽しみあれ。


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