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SONYの5万円のヘッドホン(WH-1000X M5)を買ってしまった。

買うつもりはなかった。だけど買ってしまった。

試聴するだけのつもりだったのに、いつの間にか会計を済ませ、エコ包装の箱に入ったMH -1000XM5を手にしていた。

「5万円もするヘッドホンなんて、誰が買うんだよ」と思っていた、過去の自分に教えてあげたい。それはね、君だよ。ある日唐突に、ふらりと買ってしまうんだよ。

すぐにカフェに移動して、スマートフォンにつなぐ。すぐにつながり、いつもの音楽が流れる。聴き慣れた音楽が、全く違うものに感じる。音の空間が広がり、その中心に自分がいる。

慌ただしい毎日だけど、少しは音楽に没頭する時間が欲しい。できれば毎日、せめて一度くらいは。それに、映画だって音をしっかり出して観たい。

だけど、わが家は木造アパート。他の部屋の音がダダ漏れなので、こちらの音も漏れているだろう。なので、いつもイヤホンで音楽を聴いていた。

ところが、耳に突っ込むタイプのイヤホンとわたしは、とにかく相性が悪い。

まず、すぐに無くしてしまう。スマートホンのBluetooth接続画面には、今は無き、消えていったイヤホンの名前がずらっと並んでいる。こんなにたくさん、どこに消えたんだろうか。気に入ったものから消えていくから悲しい。

そして、洗濯してしまう。無くさないようにズボンのポケットに入れたら、今度は洗濯してしまう。防水機能付きのイヤホンでも、洗濯したらどこかおかしくなる。

さらに言うと、肌が弱いから耳の中が荒れてしまう。耳の中がかさぶただらけになる。痒くて不快。耳に引っ掛けるタイプの骨伝導のイヤホンも持っていて、子供の世話をしながら音楽を聴いたり、オンラインイベントやYouTubeを耳だけで聞くときに重宝している。

だけど、音楽に没頭するときはやっぱりちゃんと耳を喜ばせたい。
どうしても、「音」を摂取したいことがあるのだ。

ヘッドホンへの憧れはずっとあったものの、有線のものしか使ったことがなかった。だけど、まだCDやMDで音楽を聴いていた10代の頃に、HMVやタワーレコードの試聴機でヘッドホンをはめる時の安心感のことは覚えていた。人混みにビビりながら、横浜や渋谷の街に出て、CDを買いに行く。都会の情報の渦に巻き込まれて疲れ果ててしまうけど、試聴機のヘッドホンをはめているとホッとできた思い出がある。

そんな思い出を頼りに「どうやらSONYのヘッドホンがすごいらしい」という情報だけで、うっかり買ってしまった。高い買い物なだけあり、日常に変化が起きたので書き留めておく。

【前提条件】
・ワイヤレスでも有線でも使えるヘッドホンが欲しい。少し前に、CDプレイヤーも買ってしまったので、そちらにもつなぎたいので。
・つけ心地を重視したい。優しくフワッと、が大事。
・iPadとiPhone(仕事の日はPCも)など複数デバイスを1日に何度も繋ぎかえるので、繋ぎかえがしやすいことが大事。
・ノイズキャンセリングを使いたい。だけど、耳がツーンとするのは嫌だ。
・主に家で使う。

この条件を全て満たしているのが、XM5だった。

ワイヤレスでも有線でも使えるし、つけ心地はフワッと優しい。接続の反応もよい。「iPhoneで音楽を聴きながら皿を洗っていたら、夫が娘をお風呂に入れてくれた。この10分くらいの間に、iPadでドラマの続きを見たい!」みたいな時に、わざわざiPhone側で音楽を止めたり接続を外す操作が必要ない。iPadの操作だけでサクッと繋ぎかえられるので、すぐにiPadでドラマの続きを観られる。接続にアプリが必要、という口コミも見て心配だったけど、Bluetoothで接続する手順だけで簡単に繋げるので安心した。

5万円のヘッドホンを買ったら起きたこと

このヘッドホンを買ってから起きた変化はこんな感じ。

1.音楽の楽しみ方がガラッと変わる。

音が良いのは当然。その上でさらに、音の立体感が感じ取れるのがすごい。聴き慣れた曲でも「こんな曲だったのか!」という発見がたくさんある。

イヤホンで音楽を聴くのが当たり前の時代でもあるから、作り手もそれを意識しているはず。例えばチャーリープースとBTSジョングクのコラボ曲『Left  and Right』みたいに左右に振るのはわかりやすい。

だけどこのヘッドホンだと、左右だけじゃなく、奥行きも感じる。左右から聞こえるボーカルとギターが、左手前と左奥から同時に聞こえる、その距離感の違いがわかる。

さらに、前後も上下も、方向だけじゃなく距離感も感じ取れる。音の空間を感じられるのだ。

土岐麻子のボーカルのたたせ方が、これほど気持ちいいなんて知らなかった。おしゃれな音楽なのは知ってたけど、こうなってたのか。

宇多田ヒカルのスタジオライブも、改めて聴き直してみた。イヤホンで聴いたのとは全く違う。同時に演奏したものの録音なのに、それぞれの楽器の音がそれぞれ適切に組み直されている。こんなふうに音源にまとめる技術ってすごいなぁ。歌い手や演奏者はもちろん、録音やミックスの技術の凄さもわかるので、音楽鑑賞の楽しさが増す。

Adoみたいな音作りでめいっぱい遊んでいる曲や、クラブでかける前提の曲などの工夫を張り巡らされた構造の曲は、当然面白い。一方で、歌とギターだけで聞かせるような曲も、味わい深く感じる。ファーストテイクの奥田民生の回、何度も聴いている。

少し前までは、刺激の強い音楽を好んで聴いていた。K -POPもそうだし、米日韓のHIPHOPなど。慌ただしい日々の中で、束の間の休憩をとるときに摂取する音楽の聴き方だった。だけどこのヘッドホンにしてからは、シンプルな音楽も心地よく聴ける。久しぶりにクラシックを聴いてみたり(中学生の時は音大志望だった)、ジャズもいい。最近はもっぱらSpotifyで音楽を聴いていたけど、かつてCDを取り込んだり、デジタル購入をしていたApple Musicを起動して久しぶりの音楽を聴くのもよい。

音楽って楽しいな 、と改めて実感した。
サブスクに入っていない音源は、わざわざCDを取り寄せてしまった。コンポにつなげて聴くのも楽しみだ。

2.映画が楽しい。特にクリストファーノーラン。

NetflixやAmazonプライムビデオ、Disney +で映画をよく見る。テレビは小さな物しか持ってなくて、しかも主に娘に占領されているから使えない。動画は、iPadをモニターに繋いでみる。やっぱり映画は音も重要だなぁ、と改めて実感した。

クリストファーノーラン監督作品が大好きなのだけど、彼の映画は不穏な低音がよく流れている。音楽はハンスジマーなど、映画館で空間を響かせるような音楽のプロフェッショナルたち。テネットもよかった。映画は映画館で観るものだ、という意見には大いに同意するけど、育児中だとハードルが高すぎる。ヘッドホンがあることで、映画館の体験とは違うけど、少しは作り手たちの仕込んだものを深く味わえるような気がする。

本当だったら、山奥の古民家にでも住んで、一部屋を映画専用スペースにし、サラウンドの音響を揃えたい。だけど、東京の小さなアパートでも、このヘッドホンだったら「映画を観ている!」という気分を疑似体験できる。

3.オンラインの会話がしやすくなった

オンラインの会議や雑談で喋るのが苦手だった。
聴く分にはいいのだけど、喋っていると急に不安になって言葉を組み立てられなくなってくる。イヤホンを耳に突っ込んでいると、耳栓をしたまま喋るような心地悪さがあったからだ。

だけど、ヘッドホンだと、心地よく話せる。

これは理由がよくわからないけど、安心して話しやすいのだ。つけ心地が柔らかいから?マイクの性能は(自分では試せないとはいえ)きっと良いだろう、という信頼感があるから?わからないけど、安心して、よく考えながら話すことができる。

4.集中力が増した、気がする

カフェや図書館で作業をすることが多いのだけど、ノイズキャンセリングで周りの騒音がほとんど気にならなくなる。席について、ヘッドホンのスイッチを入れると「すうっ」と周囲の雑音が遠ざかる感じが楽しい。

これによって、集中力が増したような気がする。たぶん。

ただ料理中は、換気扇の音が聞こえないので、今のところ毎回「換気扇つけたっけ?」と何度か確認してしまう。

買ってイマイチだったな、と思うこと。

購入を検討している人に向けて、ちょっとこれは誤算だったな、ということも書いておく。

1.持ち運びしにくい

覚悟していたけど、持ち運びはしにくい。

もともと家でたくさん使い、持ち運びはしない予定だった。だけど事情が変わり、ほぼ毎日外に出ているようになった。外で作業する時にも、ノイズキャンセリングがあると集中力が全然違うので、なるべくどこでも使いたい。

しかたないので、近所なら首にかけたまま出掛けている。だけど、雨が降りそうな時はドキドキする。傘をあまりささないタイプの人間なので、あまり天気を気にしないで過ごしてきた。しかしこのヘッドホンを買ってからは、天気予報が気になるようになってしまった。

遠出するときは、諦めてどでかいケースごと持ち運ぶしかない。筋トレしておこう。

2.運動しにくい

YouTubeを見ながら10分程度の筋トレやヨガを2〜3個やるのが日課。ヘッドホンをつけながらやってみたけど、つけ心地が柔らかなのですぐずり落ちてしまう。そして蒸れる。

時々、オンラインでヨガクラスに参加するのだけど、開始2秒でどこかに吹き飛ぶ未来が見える。

ここは諦めて、運動時は骨伝導のイヤホンを使うことにする。

3.気が利きすぎる

話しかけられたり、自分が喋ると一時停止になる。(これは、そういう機能なのかな?)なので娘が話しかけてくると逐一停止される。

塗り絵が上手くぬれたとか、折り紙が上手にできたとか、ミッキーがどうしたとか、ペンギンパイがどうのとか(ペンギンのパイかと思ったら違うらしい)、なんかいちいち話しかけてくるたびに一時停止する。1秒ごとに停止される。

すごい性能だ。
そう、これはいいことのはずだ。上手にぬれた塗り絵は褒めてあげたいし。
だけど、どうでもいい話題の時は聞き流したいんだけど、そこんとこどうでしょうか、ソニーさん(無茶振り)。

4.割と視線を感じる

街中に、ヘッドホンをして歩いている人は少ない。若干視線を感じる。
これは、あまり気にしないようにするしかない。

家で過ごすことが多く音楽を聴いたり、映画を観る機会が多い人にはおすすめです。

さて、いたずらっ子の4歳児から守り、無くさず、大事に使えるだろうか。これから末永くご一緒しましょう、1000MX5さん。

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