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下部雑音の鳴らない音の確かめ方

あるコンサートで"その音"を聴いた瞬間、心と耳が震えた。私が弾くピアノの音より、100倍ウェットで、濃密で、まるでサテン生地のような音。

この音が欲しいと思った。その音に比べたら、私がピアノから出せる音なんて、薄っぺらで、パラパラ乾いた、お米みたいな音だと思った。

そして、それ以来その音の虜になった。

昔から「綺麗な音」と言われることはあったし、パワーでバリバリ弾くタイプ、というのとも違ったと思うけれど、深みのある音やウェットな音が出せない事が不満だった。どうしてもサラリとしてしまう。BGMには良いかもしれないけれど、説得力に欠ける。

この不満を解消してくれたのが、前述した音との出逢いである。言ってしまえばロシア的な奏法から得られる音で、その出逢い以来、私はその奏法を基にピアノに向かっているのだけれど、私自身が「ロシア奏法で弾いています」と簡単に語る気にはなれずにいるので、極力今後もロシア奏法という言葉は使わないつもりだ。(その域には到底届いていない、という思いがあったり、当のロシア人ピアニスト達ですら、これがロシア奏法、これがロシアピアニズムと言い切れる物はないと言っていたりするからだ。)

1つ、"その音"を知る手がかりになる物を見つけたので、紹介しておく。タイトルにもある『下部雑音のならない音の確かめ方』だ。

下部雑音‥ピアノの鍵盤が底に当たった時の音。
響きの構築や、音の減衰具合に関係してくる。

〈下部雑音の鳴らない音を確かめる方法〉
※グランドピアノの場合
1. ピアノの鍵盤の蓋をとる。
2. ペダルを使って、ある音のダンパーを上げたままにする。
3. 該当の鍵盤が下がらないよう、指で押さえておく。
4. ウィッペンを持ち上げて(黄色の部分)、音を鳴らす。

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なんと響きが豊かに膨らむのだろうか。
現代のピアノで演奏する私たちが、この音を使わない手はない。

(どうやったら弾けるの?は一言で言えるものではないし、一朝一夕で身につくものでもありません。断片的にnoteに書くこともあるかもしれませんが…。一緒に勉強しましょう。)

ただしもちろん、下部雑音がならなければ絶対に美しい音楽になるわけではない。

私はフィギュアスケートについて、その技術の何がどう難しいかはわからない。だけど、トリノオリンピックの時の荒川静香さんの演技を、なんて美しいのだろうと感動したことを覚えている。

きっとスケーター達は上げる手の角度から、ジャンプやステップの時の手足の使い方や姿勢、重心の位置、表情など、細部にわたって注意を払っているはずである。それらが全て自分の表現になって自然に行われた(ように見える)時、きっと人に何かが伝わり、感動するのだろうな、と思う。

ピアノだって同じだ。
感動はたぶん、技術を超越した先にある。

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