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Que,sera,sera.

さく あかねさん

このお話は、せいらという女の子が 「Que,sera,sera.    なるようになるさ。」
というおまじないと出逢いキセキをおこす物語です。

小さな頃から体が弱いせいら。せいらはいつもベッドの上で過ごしていました。

「星羅(せいら)」という名前は、
星のように小さな幸せを網でつかまえて大きな光を手に入れますように、という
お父さんとお母さんの願いが込められています。

小さな幸せって何でしょう?
もしもせいらが大きな光を手に入れられたら
キセキが起こるかもしれません。

せいらが10歳の時、
病気が悪さをして目が見えなくなりました。
せいらは闇の世界にいました。

「どうしてせいらばかりこうなるの?」

ずっと泣きじゃくるせいら。ずっとそばにいるお父さんとお母さん。毎日泣きました。泣いて泣いて泣きました。

もう涙が枯れて出なくなった時。
お母さんが言いました。

「もう一生分泣いたわ。これだけ泣いたんだもの。あとは笑うしかないわね。お母さんは笑っているわ。そしたらせいらがつられて笑ってくれる気がするから。」

お母さんはそう言ってせいらの口の中にキャンディを入れました。
甘いキャンディを食べてせいらは笑顔になりました。
そしたらお父さんとお母さんもつられて笑顔になりました。

それからせいらは歌うように過ごしました。
目が見えなくても音を聞いて話すこと、歌うことはせいらにとって一番の楽しみでした。
お父さんとお母さんがいない時は音楽を聞いて過ごしていました。

そんな時、ある曲から「ケセラセラ〜♪」と呪文のようなおまじないのような言葉が聞こえてきました。
その言葉はせいらの心にそっと寄り添ってくれました。

せいらはお母さんに聞きました。

「お母さん!ケセラセラ〜♪って言葉知ってる?」

お母さんはこたえました。

「知ってるわよ。ヨーロッパの言葉でね、なるようになるさ♪という意味があるの。でもどうしてせいらはこの言葉を知っているの?」

せいらは歌うようにこたえました。

「音楽から流れてきたのよ〜♪」

言葉の意味を知ることってなんてステキなことなんでしょう。

「ケセラセラ」という言葉はせいらだけでなく、まわりの人にも寄り添ってくれました。

ある日、せいらのお母さんは落ち込んでいました。理由を聞いてもこたえません。
せいらはお母さんの姿を見て思いました。

「きっと誰もが心の中に傷がつくことがあるんだ。わたしもそうだったから。理由が何だろうとお母さんは今悲しいんだ、苦しいんだ。せいらならそんな時こうしてもらいたいな。」

せいらはお母さんのそばによって優しく触れました。そしてお母さんの背中を丸く描くようにゆっくりさすりました。
くーるくる。くーるくる。

そしてお母さんに優しくささやきました。

「Que,sera,sera.    なるようになるさ。」

その言葉を聞いてお母さんはわんわん泣きました。泣いて泣いて泣きました。

涙が自然とおさまるとお母さんはにこりとせいらに微笑みました。もちろんせいらにはその微笑み見えません。だけどせいらは何かを感じて微笑みかえしました。

その様子をお父さんは見守っていました。

それからせいらは誰かが泣いていると自分のことのように悲しくなりました。

そのときそのときで、
「もしせいらがこの人の立場だったら」
とよく考えてその人に寄り添いました。
あたたかい愛はまわりを笑顔にしました。

しかし、世の中にはせいらのことをバカにする言葉を言う人もいたんです。
言葉はときに人を傷つける刃物のようなものになるんです。どうして人は刃物をむけるのでしょう。

せいらは悲しくて悲しくて落ち込んでいました。

そんなせいらの姿を見ていたのはお父さんとお母さんでした。

お母さんはそっとせいらに寄り添って言いました。

「せいら、落ち込んでいるのね。
言葉ってときに刃物になるの。お母さんも刃物になる言葉を言われたわ。とっても悲しかった。イライラした。
どうして人は刃物になる言葉を使うんだろうって。考えても考えてもお母さんにはわからなかった。
そんな時、せいらがお母さんを助けてくれたのよ。

Que,sera,sera.    なるようになるさ。

って。
せいらはお母さんに優しく寄り添ってくれた。あの時は本当にありがとう。

刃物のような言葉で傷がついたときは泣いて泣いて泣きなさい。
そしたらまた笑えるようになるから。
考えても答えはでないのよ。考えて落ち込んでいるよりもお母さんはせいらに笑っていてほしい。
地球の中でも宇宙の中でもせいらはオンリーワンなのだから。
一度きりの人生、どうせなら笑っていましょう。
大丈夫よ、せいら。」

愛あるお母さんの言葉にせいらは涙がポロポロポロとこぼれました。

そんなせいらの姿を見てお父さんとお母さんはぎゅっとせいらを抱きしめました。

ポロポロポロ流れる涙はせいらを癒してくれました。

せいらは思いました。
「せいらは一人じゃないんだ。
こんなにもせいらを愛してくれるお父さんとお母さんがいるんだ。
せいらは刃物のような言葉で落ち込むよりももっと大きなことで落ち込んできた。
どんな時もお父さんとお母さんがいた。
せいらならまた乗り越えられる!」

そのことに気がついた時、せいらの涙は止まっていました。

そしてニコッとせいらは笑いました。

そしたらお父さんとお母さんもつられてにっこり笑いました。

3人でおでことおでことおでこをこつんと寄せて、 

「Que,sera,sera〜♪」

と歌いました。
その姿は大きな光に見えました。
3つの星が大きな光となったんです。

せいらという名前。
お父さんとお母さんが込めた願い。

せいらは願い通りの女の子になっていたのです。
キセキが起こったのです。

Que,sea,sera.
なるようになるさ。 

この言葉は悩んで悩んで答えが出ないあなたに贈る言葉。

Que,sera,sera〜♪

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